全美レスキュー用資機材リストの経緯

1.阪神・淡路大震災文化財レスキュー

 『阪神大震災 美術館博物館総合調査 報告2』(1996)のなかの「緊急調査・応急処置資材のリスト」(田中善明、田中千秋)。認証のかかった会員館のページに置かれているため全美の会員しか見ることができない。→文化庁のホームページサイト内検索ウィンドウに「応急処置用資材リスト」と入れて検索
「緊急調査・応急処置資材のリスト」(1996)
https://www.bunka.go.jp/earthquake/taio_hoho/pdf/jyoho_04.pdf

リスト作成の経緯:全国美術館会議と文化庁芸術文化課、国立美術館4館が合同派遣したレスキュー隊が、救援活動に必要な資材を想定し、1995年1月下旬から2月上旬にかけて準備したもの
リストの目的:①作品を二次災害から守るための資材と被害を受けた作品の状態調査、②応急処置に必要な材料と道具
用途:8区分:分別資材、筆記用具、写真記録、工具、Wet処理、Dry処理、携帯品、医薬品
リストの項目数:136品目
「今後は想定される災害に備えて必要な資材を検討したうえ、各地域ごとの備蓄と、近隣での支援ネットワークの強化が望まれる。」
「応急処置用の資材は主に国立西洋美術館の河口公生が事故・事件発生時を想定して展示室に設置した「仮処置緊急箱」(緊急対応マニュアルも含む)からなっており、普段からの備えが有効であった例といえる。」
阪神・淡路大震災の際に調達した防災グッズは、レスキュー事業終了後尼崎文化センターで保管→元三重県立美術館の田中善明が1995年年末に全美事務局館であったブリヂストン美術館に送付(田中善明談)
 

2.石巻文化センター美術部門レスキュー開始前 (東日本大震災)

石巻文化センター美術部門レスキュー 初動のリスト:「筆者が一足早く24日に仙台へ向かうあいだに、27日からの作業参加者たちは互いに連絡を取り、応急処置と梱包用に大量の資材を手配して2トン車と自家用車に詰め込み、準備を整えていた。また出発前の23日に宮城県美の三上満良氏から届いた石巻文化センター所蔵美術品のコピーが、資材の準備と現場での作品同定に役立った」(国立西洋美術館 村上博哉、全国美術館会議 東日本大震災文化財レスキュー事業記録集p.51)
「緊急調査・応急処置用資材リスト」(1996)を田中千秋がアップデートして国立西洋美術館に送付、西洋美術館が出発直前に資材を調達。ブリヂストン美術館と静岡県立美術館も館にあったものを提供
「災害時における必要資材リスト」(2011, 石巻文化センター美術部門レスキュー開始前)
http://www.zenbi.jp/data_list.php?g=93   pp.403〜407
リストの項目数:125品目
 

3.陸前高田市立博物館被災美術品等レスキュー活動終了後(東日本大震災)

「宮城県および岩手県での全国美術館会議のレスキュー活動で使用した資材一覧」(2011)
伊藤由美及び樽澤武秀がレスキュー活動終了後に資機材を確認しながらリスト作成。
http://www.zenbi.jp/data_list.php?g=93  pp.416〜420
リストの項目数:263品目
分類名:工具、計器・メジャー、筆・刷毛、修復作業用具、接着材料、容器、紙・シート、梱包材、清掃用品、衛生医療用品、文房具、その他
 

4.川崎市市民ミュージアム被災収蔵品レスキュー

 2019年11月12日岩手県立美術館が保管していた全美資機材を同館に輸送(岩手県立美術館も資材追加/担当:根本亮子)→11月13日市民ミュージアムに資機材到着。レスキュー作業に活用。
2020年6月22日、全国美術館会議から市民ミュージアムに対し資機材返還準備の要請。市民ミュージアムは7月2日から全美資機材の回収と整理に着手。市民ミュージアムの担当は新美琢真、澤口恭子。国立文化財機構の担当:浜田拓志。市民ミュージアム側でリストを更新。8月28日に整理・確認・清掃・補填作業がほぼ終了。10月13日に三者で確認作業(全国美術館会議:伊藤由美、橋口由依、邊牟木尚美、事務局小林豊子、川崎市市民ミュージアム、国立文化財機構)。その後全国美術館会議、市民ミュージアム双方で若干の補充を続けながら神奈川県立近代美術館がリストを更新。12月16日に再梱包作業(全国美術館会議、川崎市市民ミュージアム、国立文化財機構)。
リストの項目数:254品目
 
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