美術館の原則と美術館関係者の行動指針

美術館の原則と美術館関係者の行動指針(PDF:1.9MB
美術館の原則と美術館関係者の行動指針 資料編(PDF:3.6MB

美術館の原則

  • 美術館は、美術を中心にした文化の価値を継承・発展、さらに創造することに努め、公益性・公共性を重視して人間と社会に貢献する。
  • 美術館は、人類共通の財産である美術の作品・資料及びそれに関わる環境の持つ多様な価値を尊重する。
  • 美術館は、設置目的・使命を達成するため、安定した人的、物的、財源的基盤をもとに活動し、美術館に関わる人々と作品・資料等の安全確保を図る。
  • 美術館は、倫理規範と専門的基準とによって自らを律しつつ、人々の表現の自由、知る自由を保障し支えるために、活動の自由を持つ。
  • 美術館は、設置目的・使命に基づく方針と目標を定めて活動し、成果を評価し、改善を図る。
  • 美術館は、体系的にコレクションを形成し、良好な状態で保存して次世代に引き継ぐ。
  • 美術館は、調査研究に努め、その成果の公表によって社会から信用を得る。
  • 美術館は、展示公開や教育普及などを通じ、広く人々とともに新たな価値を創造する。
  • 美術館は、活動の充実・発展のため、各職務の専門的力量の向上に努める。
  • 美術館は、地域や関連機関と協力連携して、総合的な力を高め、社会への還元を図る。
  • 美術館は、関連する法令や規範、倫理を理解し、遵守する。
 

美術館関係者の行動指針

行動指針 1:

社会への貢献

美術館に携わる者は、美術館の公益性・公共性と未来への責任を自覚して、文化と芸術の継承発展・創造のために活動し、広く社会に貢献する。

 美術館に携わる者は、美術館が社会的存在であることをつねに意識し、収集保存、調査研究、展示公開、教育普及のどれもが広く精神文化を高めることを考え、自己本位でなく公益性・公共性の視点を維持するべきである。学芸、事務職のみならず美術館に携わる者は、様々な職種での業務内容が継続性を持ち、未来につながっていくことを忘れず、美術館活動が直接的・間接的な社会貢献となることを考慮し、美術に対し、同時に社会に対して謙虚になる必要がある。この態度を維持し、精神文化を充実させ、絶えず新たな価値をつくりだす創造的行為が求められる。
公益性・公共性と未来への責任を考えれば、業務の継続性と同様に、作品・資料を次世代へと引き継いでいくことに留意すべきである。また、公益性という用語から明らかなように、社会への貢献はあくまでも非営利的な視点のもとで遂行されなくてはならない。
学芸スタッフ、事務スタッフ、会場監視や施設管理、ショップやレストランの運営にあたるサービス部門スタッフ、またボランティア等の、自発性を持って美術館活動に参画するすべての人々が、美術館の社会的な使命への自覚のもとに、それぞれ必須の役割を持っていることを認め、互いの立場を尊重しながら美術館活動を担っていくことが何よりも重要である。
 
 
 

行動指針 2:

多様な価値と価値観の尊重

美術館に携わる者は、作品・資料の多面的な価値を尊重し、敬意を持って扱い、作品・資料に関わる人々の多様な価値観と権利に配慮する。

 美術館が扱う作品・資料の範囲は、古い時代のもの、近代以降のもの、現代の多様な表現手段によるもの、図書、アーカイヴ資料など幅広い。それらが豊かに併存することで美術は歴史とともに今を生きている。作品・資料の属する時代によって扱い方が変わり、価値基準も変化する。しかしながら、多様な分野の併存は、古美術で培った視点で現代を見る、あるいは現代の美術状況から古美術に新たな意義を見出すなど、新しい価値の創出に有効である。このことを考慮すれば、美術の他領域に対する相互の尊重は作品・資料全般にとって極めて重要な要件となる。
 さらに作品・資料が持っている広範な文化環境・背景に視野を広げれば、地域、国の内外を問わず、それぞれが拠って立つ価値観の尊重も必須となる。個人のもっとも重要な表現方法の一つである美術が、基本的権利として保障されている表現の自由に基づいているものである限り、それを支えている様々な価値観、差異の尊重は言うまでもない。多様な価値観と表現の自由への尊重は、美術館及びそれを構成する人間が主体的意思を持つ自立した存在であることによって確保され保障される。その自立は、確保に向けての絶え間ない努力と自己検証により達成されるべきものである。
 同時に美術館活動は、作品・資料はもとより、作家と関わる場合も多い。作家やコレクター以外でも、作品・資料の著作権、所有権等の権利を保持する人々、さらには、輸送展示、保存修復、電気技術などの専門家、展覧会等を共催する新聞社等のメディア、出版業者、美術商等、美術館職員が接する美術関係者は多岐にわたる。それらの人々が総体として美術館活動を構成しているゆえに、相互の尊重と配慮は不可欠である。作品・資料が、美術館活動の豊かな可能性を開くものであることを考えれば、まずは作品を生み出す作家は敬意の対象であり、また、上に挙げた様々な立場の人々も美術に愛着を寄せ、それぞれの価値観を抱いている。美術館に携わる者は、その多様性を尊重し、それぞれの権利、立場にも十分留意しなければならない。
 
 
 

行動指針 3:

設置の責任

設置者は、美術館が使命を達成し公益性・公共性を高めるよう、財源確保と人的措置、施設整備等の活動基盤の確保に努める。また、美術館に関わる人々とコレクションの安全確保を図る。

 美術館を設置する者は、まず美術館設立の理念や使命を立て、社会や市民に提示する。そのうえで、美術館が社会のなかで永続的かつ健全に役割を果たせるように、設置する地域の歴史や文化、また設置者の財政状況も考慮しつつ、長期的な視野に立ってもっともふさわしい運営制度、経営形態を選び取らなければならない。また同様に、使命を実現するための組織の構成を整え、運営資金を投入し、施設整備などの基盤確保に努めることが必要である。施設を整備するにあたっては、美術館の利用者、関係者及び職員の安全と、収蔵する作品・資料の保全に十分な配慮をするべきである。
 美術館の設置者は、美術館を恒久的に存続させる責務を負っているが、もしかりに維持できなくなる、あるいは設置時に選び取った経営形態を変更する場合には、その状況と原因を社会や市民に対して説明しなければならない。
 一方で、「美術館の原則」に掲げられている内容とICOMによる博物館の定義に明示されているように、美術館の社会的役割は、収益性にあるのではない。美術館の設置者は、自らに適った使命を自主的に掲げて、謳われた使命の共有に努め、収益性の優先を退けて、使命達成に必要な財源、安定的な雇用、人材の確保と育成が重要であることを認識すべきである。
 
 
 

行動指針 4:

自由の尊重と確保

美術館は、日本国憲法に定められた国民の表現の自由、知る権利を保障し支える。これを実現するために、社会から作品・資料を負託されている美術館は、行動指針と専門的基準とによって自らを律し、活動の自由を保持している。

 美術は、人々の様々な価値観が出会いぶつかり合うなかで、表現活動と鑑賞活動を通じて、不断に新たな価値が生み出されていく分野である。美術館がその活動のもっとも有効な、また社会のなかで必要不可欠な現場であることを、美術館に携わる者は心すべきである。日本国民は、日本国憲法によって、公共の福祉に反しない限りにおいて、また個人の諸権利を侵害しない限りにおいて、表現の自由及び知る権利(見る権利)を与えられている。美術館は、この自由と権利を保障し支援する。
 また、美術館はこの行動指針や様々な専門的基準によって自らを律し、その基本理念をつくる自由、それに基づいて活動する自由を保持することができる。この自由を不当に制限しようとする外部からの介入、干渉に対し、美術館はこれに抵抗し、拒否する権利を有する。自由を有するがゆえに、美術館は自らを厳しく律し、自ら定めた専門的基準を遵守しなければならない。
 
 
 

行動指針 5:

経営の安定

美術館に携わる者は、美術館の設置目的・使命や方針・目標を理解し、目標達成のために最大限の努力を払い、評価と改善に参画する。美術館の経営者は、経営資源を最大限に活かし、透明性を保ち、安定した経営を行うことで公益の増進に貢献する。

 美術館に携わる者は、目標達成のために最大限の努力を積み重ねながら、活動の質を上げていくことを忘れてはならない。自ら検証を行うと同時に、美術館の状況を理解する第三者による客観性を確保した外部評価を必要とし、不足不十分な点を絶えず改善する態勢が肝要となる。
 作品・資料は、美術館の経営にとって何よりも大切な文化資源であり、施設も利用価値の高い資源であるから、積極的な活用を図りながら、それらの利用には、正当な根拠と適正な手続きをもってあたり、対外的な説明責任に耐えられるようにする。外部資金、外部活力の導入などの方途は、安定した経営に資するばかりでなく、社会的な連携、協力の体制を形成するうえでも大切になる。その場合もまた、美術館の存在が公益性・公共性を優先した非営利的なものであることを絶えず意識しなければならない。従って評価のなかでも、定量評価よりも定性評価を重視する必要がある。同時に、単年度予算にとらわれない中長期的な計画を視野に入れた経営が欠かせず、そのうえで組織力や人件費の確保と人材育成、雇用の安定に努めなければならない。
 設置者から運営管理を委任された経営者は、職員及び利用者の安全を図り、施設の管理体制を明確にして、収蔵する作品・資料の保全を確保するために、安全基準を遵守できる機能を保持し、また防災訓練等の実施や防災マニュアルの作成など、不測の事態に備える必要がある。
 
 
 

行動指針 6:

収集・保存の責務

美術館に携わる者は、作品・資料を過去から現在、未来へ橋渡しすることを社会から託された責務として自覚し、収集・保存に取り組む。美術館の定める方針や計画に従い、正当な手続きによって、体系的にコレクションを形成する。

 美術館に携わる者は、収集に際して必須となる作家、美術商との交渉に私益が混入しないように細心の注意を払い、自らの行動があくまで社会的な責任を負ったものであることを十分に自覚するべきである。
 とりわけ作品は、公開されてはじめて多面的価値を発生させるものであることを考えれば、作品・資料の保存に関して、保存と公開のバランスに配慮し、どちらかに偏らないように心掛けることが重要になる。一方でいつでも公開に耐えるよう良好な保存状態を維持することに努め、展示環境にも最大限の注意が払われなければならない。
 また、美術館はその収集方針・計画を明確にし、それに則った内容豊かな体系的なコレクションの形成をつねに意識すべきである。方針・計画にそぐわない外的な要請・圧力に対しては適正に対応する。
作品・資料の収蔵にあたっては、真贋や作者の同定に関して、十分な学術的調査に基づく誠実な判断を行うべきである。また、作品・資料の来歴に関しても、収蔵に先立って可能な限りの調査を行い、記録し、現所有者が完全かつ正当な所有権を有していることを確認する必要がある。盗難、略奪、不法輸入、その他の経緯により正当な所有権が保証されない作品・資料を取得してはならない。
 設置者がいずれであろうとも、美術館は公共性を持つ機関であり、所蔵する作品・資料は公共財産、文化資源である。コレクションの体系性を高めるための、あるいは美術館活動に不可欠な資金を確保するための作品・資料の処分(譲渡、売却、廃棄)については、慎重かつ厳密な検討を経なければならない。美術館の根幹であるコレクションが健全に永続的に成長し、そのことによって公益に資するよう、美術館は不断に心がけるべきである。
 
 
 

行動指針 7:

調査研究

美術館に携わる者は、館の方針に基づき調査研究を行い、成果を積極的に公表することに努め、また展示や教育普及の企画立案に反映させ、さらに学術的貢献を通して美術館への信頼度を高める。

 調査研究は、収集・保存、展示公開、教育普及を根底から支え、美術館活動の根幹をなす。それは、美術史研究、作品作家研究、教育普及、美術館学、保存科学、展示、図書、アーカイヴ資料等の整備、IT分野、運営管理など、様々な分野で展開され、スタッフ個人の力量を高めるものである。同時に、館の方針の範囲内で行われる調査研究は、何よりも、展示や教育普及の企画に結び付け美術館活動へ反映させることが重要である。その際、それぞれの研究内容と美術館の方針との整合性が考慮される必要がある。調査研究が美術館活動の原動力であることを明確に認識したうえで、それを積極的に推進するよう美術館全体として取り組まなければならない。
 調査研究の基盤の一つをなす、作品・作家に関する図書、アーカイヴ資料等を積極的に収集、整理、蓄積、保存し、公開して広く美術への関心、研究に応える必要も極めて大きい。また、これ自体も研究活動として重要である。
研究成果は、美術館活動への直接的な反映もさることながら、紀要や学術誌等への論文掲載、新聞雑誌等への執筆など様々な形で広く活発に公開されることが望ましい。調査研究は個人的な業績の蓄積と美術館活動の厚みとが重層する領域でもあるため、経営者は、調査研究の推進、成果の発表を奨励して、美術館の活性化を図ることが求められる。また、公開にあたっては責任の所在を明らかにするために、執筆者、作成者を記名する。
 調査研究の在り方は、個人研究はもとより館内での共同研究、他館や大学等の研究機関、外部の専門研究者等と連携した研究など多様であるが、つねに透明性のある開かれた形をとる必要がある。研究発表の機会は、研究成果の広く公開された形である展覧会は言うに及ばず、図録をはじめ学術誌や新聞雑誌への執筆、講演やギャラリートーク等の口頭発表など多様にある。このことを、設置者をはじめとする美術館に携わる者はよく理解して、円滑に質の高い研究を進め、美術館への社会的信頼を高めることを目指すべきである。
 
 
 

行動指針 8:

展示・教育普及

美術館に携わる者は、美術館が蓄積した作品・資料や情報を社会に共有の財産として、展示や教育普及など様々な機会を捉えて、広く人々と分かち合い、新たな価値の創造に努める。

 調査研究を基盤にした企画力を活かした展示は、作品・資料の公開を通して美術館活動を社会に示す基本となる。美術館に携わる者は、展示を調査研究の成果を示す最良の場であると理解し、作品・資料の豊かな語りかけを楽しむ最良の鑑賞機会を人々に提供する。展示活動においては様々なテーマのもとで、人々の多様な関心に応え、学術的に裏付けられた新たな興味の発信源となる企画が望まれる。
 美術に親しみ理解を深める事業として、展示以外に、あるいは展示とともに行われる教育普及活動は、子どもをはじめあらゆる人々を対象とし、地域や学校、あるいは地理的に限定されない社会まで、広い範囲に向けて展開される。
また、文学、音楽、演劇といった諸芸術、人文科学、自然科学の他領域との連携を視野に入れ、多面的な企画を開拓することによって活動を深め、多くの人々にとって美術館を近づきやすくする工夫が望まれる。教育普及では、来館者と作家との触れ合いや、子ども、社会的少数者等への働きかけを積極的にすることで、美術をより身近で理解しやすいものとするとともに、だれにでも平等に美術作品を享受できる配慮を行う。これらの活動を通して、美術館と来館者との間で双方向的な交流を成り立たせ、美術館にとっての新たな可能性、美術館に携わる者と美術館利用者の双方に新たな視点が喚起される。それはとりもなおさず、美術館の新たな価値の創出につながる。
 また、作品・資料の公開は、インターネットに象徴される通信・ネットワーク環境の変化と技術革新、それらに伴う社会的なニーズの変化にも対応しつつ、専門家・一般利用者がアクセス可能なシステムを構築していくことも目標となる。美術館に携わる者は、館の存在・活動を周知させ美術館利用を促すうえで、普及という視点からも時代の要請に応える必要がある。
 
 
 

行動指針 9:

研鑽の必要

美術館に携わる者は、自己教育・研修等を通じて、専門的な知識や能力、技術の向上に努め、良質な業務の遂行に最善を尽くす。また、自らの知識や経験、培った技能を関係者と共有し、相互に評価して美術館活動の質を高める。

 美術館に携わる者は、それぞれの職務に関わる知識、能力、技術を、日常的な業務のなかで意識的に高めなくてはならない。内外の研修機会を積極的に利用し、日常業務では見出しにくい視点からの自己研鑽も同様に重要になる。
 学芸スタッフであれば、専門領域の学術的調査研究のみならず、他館、画廊などでの調査の機会を増やし、美術館の現場での実務的能力の習得に積極的になるべきである。
 また、総務・庶務に携わるスタッフであれば、法令や安全対策の改善への対応に努め、業務を正確に遅滞なく遂行することが大切になる。広報、渉外、施設管理、セキュリティ、サービス部門等の各スタッフ、そしてボランティアや友の会も、時代や社会の変化に対応できるよう、それぞれの分野について調べ、学び、知識を深め、業務に必要なスキルを高めていく必要がある。
 さらに美術館設置者、経営者及び美術館に携わる者は、自己研鑽の奨励、実践とともに、現場で相互の経験を共有することによって、各分野での人材育成にも心がけなければならない。
美術館に携わる者は、自らに課せられた社会的使命を十分に自覚し、その責任を果たすために、自律性の保持を重視すべきである。予期しない事態に直面した場合など、個人的な判断だけで対処することなく、管理者、同僚、関係者などと連携しながら解決を図ることを忘れてはならない。各種のクレームから自然災害への対応まで、いくつかの事態を想定して適正な判断と対処を自主的に行う用意を整えることも必要である。
 
 
 

行動指針 10:

発信と連携

美術館に携わる者は、人々や地域社会に働きかけ、他の機関等と対話・連携して美術館の総合力を高める。

 美術館に携わる者は、美術館の存在自体と社会のなかで果たす役割についても発信力を強め、教育普及活動や展覧会等の事業を通じて、人々や地域社会の参画を促し、美術館活動への理解と親しみを深めてもらい、使命を達成する努力を怠ってはならない。
 使命を実践する力量は、美術館単独よりも連携によって強化される。内外の他美術館、マスメディア、大学、研究所などの学術機関、諸外国の大使館・文化機関等、社会に対する美術理解を広める役割を担っている他機関との事業連携、研究連携は、力量強化に大きく作用する。同時に、地域社会との連携網を充実させ、外部への働きかけを増幅させる必要もある。日常的に外部の諸機関との情報交換、連携関係の構築に努め、視野を広く保つことは、美術館活動を深化させ、総合力を育てるのに必須の要素である。
 さらに、グローバリゼーションの進行や通信・ネットワーク環境の変化も踏まえ、多言語化対応も含めて、デジタル技術による作品・資料の情報公開を推進し、国境・言語の垣根を越えた発信・連携をますます高めていく必要がある。
また、館内のコミュニケーションの円滑化も互いの業務への理解と連携を深め、美術館活動全体の効果的な遂行の基本的要素であり、それぞれの作業が有機的に結合していると、美術館に携わる者全員が認識すべきである。
 
 
 

行動指針 11:

法令・規範・倫理の遵守

美術館に携わる者は、「美術館の原則」と「美術館関係者の行動指針」に基づいて活動する。関連法令を理解し、遵守するとともに、ICOM(国際博物館会議)の「職業倫理規程」や関連する学術分野の規範や倫理を尊重する。

 美術館に携わる者は、ここに示された「美術館の原則」と「美術館関係者の行動指針」をはじめとし、関連法令の遵守は言うまでもなく、ICOMの「職業倫理規程」、日本博物館協会が掲げた「行動規範」などを尊重しなくてはならない。
 また、美術館の活動には、美術史学、保存科学、教育学等の各種学術分野の規範との矛盾が生じないよう留意する必要もある。さらにはコレクション形成に関わる美術市場での商取引に関連した法令を遵守することは、社会に対して美術館活動の透明性を保持するために欠かせない。美術館に携わる者それぞれが自らを律する社会的存在であることが、美術館活動の最大の前提である。
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