情報・資料研究部会

 1993年に第1回会合をもって活動を始めた情報処理ワーキング・グループは、2004年度に情報・資料研究部会へと名称を改め、以来、ホームページや所蔵品データベース等の美術館活動を支える情報技術と、所蔵品目録や展覧会カタログ等の美術館が取り扱う資料とをめぐって積極的な活動に取り組んできました。図書や作品情報の扱いにおける従来からの普遍的課題とそれを支える情報技術という現代的課題との両面にバランスよく配慮するように努めながら、情報共有型の部会活動を目指しています。
 近年は美術館を取り巻く情報環境の変化を踏まえ、「美術館のホームページにおける情報発信のあり方」「所蔵品データベースの構築と公開」「文化遺産オンラインへの参加」「著作権問題」「美術館図書室における資料整理」「美術館刊行物の書誌情報」等について討論を重ね、学芸員研修会や企画セミナーを通じてその成果を全国の美術館に還元することに努めています。
 2004年7月には、全美会員各館における収蔵品データベース公開状況を調査し、データベースの枠を超えた所蔵品、蔵書、開催展覧会のユニークな情報発信の事例を確認しました。翌2005年4月には美術館のホームページについて、ドメイン管理や業務分担、外注化等の情報発信の実態把握を目的としたアンケート調査を実施しました。
 このような動向調査の一方、2009年から3年間にわたり、全国の学芸員に向けて2日間の企画セミナー「美術情報・資料の活用──展覧会カタログからWebまで」を実施いたしました。基本的な書誌情報の取り扱いから美術館の資料・情報の活用までを網羅する内容で、参加者から好評を得ることができました。このほかワークショップや学芸員研修会(第25回、第29回)を通じて、作品情報発信等をめぐる課題共有の場を設けてきました。
 さらに2014年12月には、3年間の準備期間を経て、全美会員各館が発行する収蔵品目録やデータベースのうち、もっとも基礎的・網羅的なものを精選し、その書誌情報を収録する『全国美術館会議会員館 収蔵品目録総覧2014』(全美目録総覧2014)をインターネット上で公開しました。
 これからの美術館に求められることは、情報発信の量と頻度をひたすら拡大する段階から、いかにその内容と質を高めていくかという段階へと変わりつつあると言えるでしょう。こうしたテーマについて、当部会では今後とも積極的に研究活動に取り組んでいきたいと考えています。
(2015年12月2日 文責:鴨木年泰、川口雅子)




 

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