教育普及研究部会

 美術館で教育普及を担当している、あるいは教育普及に関心を寄せている学芸員が集まって1993年に発足したワーキンググループです(2004年度、現名称に変更)。会員や外部専門家による事例報告や情報交換、活動現場の見学会を行う一方、できるだけ多くのディスカッションを通してメンバー各自が教育普及に対する認識を深め、多角的な視点から教育普及を考えるきっかけ作りの場でありたいと考え、年2回の会合を実施しています。海外の美術館・博物館のエデュケーターが来日する際に講演を依頼し、意見交換や交流の場を設けることもあります。
 1997年7月に刊行した『教育普及ワーキンググループ活動報告Ⅰ』では第10回までの活動報告とともに、教育普及にかかわる人の悩みや問題点など基本的な事項をおさえ、それを基に1998年度の全美総会の特別セッションで「教育普及・いま」と題した公開討論会を行いました。
 2000年2月に当研究部会が担当となって開催した第15回学芸員研修会「美術館・教育普及の可能性」では、ワーキンググループが教育普及について深めてきた部分を、新たに開館する美術館や若い世代の学芸員とワークショップを通して話し合うことを目的としました。
 その後の第19回「教育普及再考―美術館の利用者とミッションをつなぐために―」、第22回「ボランティアの現状と理念」、第26回「社会教育の歴史と理念―美術館の教育普及を考えるために―」など、担当した学芸員研修会はいずれも研究部会での話し合いから生まれ、深められた事柄や問題提起がテーマになっています。
 2008年には目黒区美術館が主催したフォーラム・連続公開インタビュー「美術館ワークショップの再確認と再考察―草創期を振り返る」に全面的に協力しました。これを機に、美術館の教育普及の草創期に重要な役割を果たした人物への聞き取りも不定期に行っています。会合内で実施したインタビューは将来、会員館ページで公開・共有したいと考えています。
 東日本大震災(2011年)では全美による救援・支援募金の立ち上げに従事し、後方支援という形で文化財レスキュー活動に関わる人々の裾野を広げました。
 美術館の各種活動の中でも、特に外とのかかわりが大きいのが教育普及です。今後も美術館の中の問題と外(社会)のさまざまな動き、双方を常に行ったり来たりできるアンテナを育てながら、美術館・博物館における教育普及のあり方を考えていきたいと思っています。           
                           (2015年12月2日 文責:清家三智)

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