情報・資料研究部会過去の活動一覧

日時
2022年8月4日(木)
15:00~17:00
場所
ウェブ会議システムZoom

第60回情報・資料研究部会会合報告

内 容 

 前回参加されず今年度初めての参加となった部会員の自己紹介を行った後、以下の議題について検討または情報共有を行った。なお、新型コロナウィルス感染症第7波を受け、全面オンライン開催となった。
1. 第2回(第71回)一般社団法人全国美術館会議社員総会参加報告
 (1) 全国美術館会議総会の部会活動報告で、以下について報告したことが部会員に共有され
  た。
  ・アーカイブズ資料所在調査を行い、56館252件の資料の所在情報について、公開に向けて作
   業を進めた。ウェブ公開のための準備は今年3月までに完了した。
  ・ジャパンサーチの連携機関(繋ぎ役)としての作業を行った。ジャパンサーチのシンポジウ
   ムに参加したり、アート・ドキュメンテーション学会の年次大会で発表したりするなどし
   て、普及に努めた。大阪市立東洋陶磁美術館が新たに加わり、ジャパンサーチ参加美術館は
   これで合計4館になったが、全美参加館は400館なので、1%程度にとどまっている状況。
   今後、全美学芸員研修会などでジャパンサーチ参加へのアピールを続けていく。
  ・機関アーカイブズについての勉強会などの活動を展開していきたい。
  ・日本美術家連盟の著作権使用料改定について、全美へのヒヤリングに参加した。
 (2) 全国美術館会議総会全体について、以下が部会員に共有された。
  ・美術館6館、個人会員4名が新たに全国美術館会議に加入した。これで加盟美術館は計406
   館、個人会員は計36名となった。
  ・役員の改選も実施された。特別講演会は韮崎大崎美術館の大村館長より。3年ぶりの対面の
   開催となり、2日目はシンポジウムで、テーマは美術館とアートマーケットであった。
2. 「美術関係アーカイブズ資料所在調査」ウェブ公開について
 (1) 公開するデータについて、以下内容を確認した。
  ・PDF版はA3版24ページに収まった。並び順は館ごと、全美の名簿順とした。
   資料群番号は 
   A271まで。
   (271件の資料群
   があるというこ
   と。)エクセルは
   PDFよりも見やす
   さを重視したレイ
   アウトとした。公
   開の形式は、『収
   蔵品目録総覧200
   4』と同じ形で行
   う。
 (2) 調査の経緯、凡例などを含む鏡の文章として現在作成中のものが幹事より共有された。方
   向性としては特に異論なく、調査時から変更になっている情報がある可能性をどこかに明記
   してはどうかという提案があり、凡例にまとめることとした。
    また2017年〜18年にかけて、部会内でトライアルアンケート調査をしたり、アート・ド
   キュメンテーション学会の年次大会で本プロジェクトの発表をしたりした活動の経歴も経緯
   に含めてはどうかという提案があり、皆の賛同を得た。
 (3) 公開日は8月中、25日を目標にすることで異論なし。とにかく一度公開して、公開後に修
   正していけば良いだろうとの見解で一致した。
3. 今年度の活動について
 (1)  大阪中之島美術館の見学会について
  ・11月〜12月あたりで調整検討することとした。参加人数は10人前後の見込み。
  ・時間は13:00〜17:00とし、見学に90-120分、部会合に90分を充て、残りを展覧会自由観
   覧とする予定。
  ・内容については部会員から、Archives spaceの使い方、目録登録作業のデモ操作、アーカ
   イブ管理ツールOmekaとの使い分け、古いアルバム類の保存方法、組織図等について聞き
   たいとの要望があった。
  ・見学は現地参加のみとし、部会合はオンライン参加も可能とする方向で検討する。
 (2) ジャパンサーチについての啓蒙活動
  ・今後どうやってジャパンサーチ参加館を増やすかという課題について、部会員からは「ジャ
   パンサーチに関する学芸員の理解が追いついていないのでは」「ジャパンサーチの重要性が
   うまく伝わっていないのでは」「ジャパンサーチをプロモートするのではなく、情報を流通
   させることの重要性を説いた方が良いのでは」という意見が出た。2024年の学芸員研修会
   で、切り口をうまく提示してジャパンサーチ普及につながるテーマを設定することを目指
   す。
   →学芸員研修会で「情報の共有」というテーマを設定すれば、国立美術館アート・コミュニ
    ケーションセンターの意義や目的を説明する機会にもなるのではないかという意見も出
    た。
  ・8月25日、デジタルアーカイブフェス2022が開催され、全国美術館会議の取り組みや東京
   富士美術館のジャパンサーチ活用事例について話す機会があるとの情報共有がされた。
 (3) 機関アーカイブズについて
   機関アーカイブズについて、どの
  ように取り組めばよいか勉強したい
  という部会員の要望を受けて、今後
  の取り組みや研修会や見学会のアイ
  ディアについて意見交換をした。以
  下のような意見が交換された。
  ・アーカイブは組織の設置主体によ
   り法律などが異なることから、各
   館環境条件が異なり一つの解を見
   つけるのが難しい状況。見学会で
   あれば様々な美術館の事例を混え
   ることが重要。小さな単位での勉強会のような形が有効だろう。
  ・美術館特有の資料としては、機関アーカイブというよりもむしろ、レジストラーが扱ってき
   たコレクションの記録管理(レコードマネジメント)の話題を共有する方が、学芸業務の現
   場に即しているのではないだろうか。その方向性を持って、美術館が有する様々な資料や記
   録をどのように扱っていくかというテーマで今後勉強会や研修会を開催できるのではない
   か。
  ・アーカイブについての勉強会としては、国文学研究資料館(立川)のアーカイブズカレッジ
   公文書館の講習が有用である。
 (4) 日本美術家連盟の著作権使用料規定の改定について
   全美に対するヒヤリングで検討された内容について、概略が幹事より報告・共有された。
 (5) 活動交付金交付申請の件
   見学会や今後の取り組みがあるので、今年度は活動交付金の申請をしても良いのではないか
   という提案に対し、皆同意した。
4. その他
 (1) ISILについて
   ISILが新しく博物館施設に付与されたことについて、部会院内で以下の情報共有を図った。
  ・アーカイブの世界では、ファインディングエイドのIDに使われるが、図書館ではどう活用
   されているのか、海外での事例も含めて不明である。
  ・今回ISILが新しく博物館にも振られたが、拒否する必要はないもののその意味はよくわから
   ないというのが実情。
 (2) アーカイブズ所在調査公開について
  ・アーカイブズ所在調査のアンケートで、所蔵資料について「全国美術館会議参加館のみ公開
   OK/研究者限定等の条件ありで公開OK」で情報提供されたものについての公開方法を今後
   検討していく必要があるだろう。
5. 次回会合について
  11月に大阪中之島美術館で見学会を兼ねて開催予定。   
(報告者:国立西洋美術館 黒澤美子)

参加者:15名

越智裕二郎(西宮市大谷記念美術館)部会長
鴨木年泰(東京富士美術館)幹事
川口雅子(国立美術館アート・コミュニケーションセンター(仮称)設置準備室/
     国立西洋美術館)幹事
石川明子(横浜美術館)
長谷川菜穂(横浜美術館)
黒澤美子(国立西洋美術館)
谷口英理(国立美術館アート・コミュニケーションセンター(仮称)設置準備室/
     東京国立近代美術館)
中島啓子(SOMPO美術館)
中平洋子(ちひろ美術館・東京)
長名大地(東京国立近代美術館)
山﨑美和(東京国立博物館)
矢口琴衣(長野県立美術館)
松山ひとみ(大阪中之島美術館)
朝倉芽生(高知県立美術館)
オブザーバー
小林豊子(全国美術館会議事務局)
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