学芸員研修会報告書

日時
2011年12月6日
場所
国立西洋美術館 講堂
〒110-0007
東京都台東区上野公園7-7
TEL:03-3828-5131(代表)
交通案内
主催
全国美術館会議 担当:教育普及研究部会

第26回学芸員研修会


テーマ

「社会教育・生涯学習の歴史と実践~美術館の教育普及活動を考えるために~」

開催趣旨

 社会教育の理念と歴史及び公民館における教育実践の事例についての講義を通じ、社会教育・生涯学習という観点から、美術館の教育普及活動を改めて考える。
  開催趣旨 PDF(PDF:98.6KB

活動報告

 全国美術館会議第26回学芸員研修会が、教育普及研究部会の企画により、国立西洋美術館で実施された。テーマは「社会教育・生涯学習」である。美術館は、そもそも、博物館の一種であり、社会教育施設として設置されるものである。しかしながら、そのことを意識して活動を行っている美術館は少ないのではないか。美術館内外で「教育普及」活動が認知されてきた今、美術館の根幹である「社会教育とは何か」を学ぶことがこの研修の目的であった。
 まず、この研修の発案者である端山聡子氏(元平塚市美術館/平塚市教育委員会社会教育課)※より社会教育活動の拠点である公民館での活動と美術館の教育普及活動の類似点について紹介いただき、社会教育の原点を学ぶことが、今の美術館の教育普及活動を改めて見直すことになるのではないか、という提言をいただいた。そして、松田武雄氏(名古屋大学大学院教授)からは明治以降から1960年代頃までの日本における社会教育の歴史について、手塚英男氏(生涯学習実践者/松本市あがたの森文化会館初代館長)からは1960年代からの実践者として現場のお話をうかがった。
 午後一番の佐藤一子氏(法政大学教授)は海外の事例を引きながら現在の社会教育の可能性についてお話しいただいた。そして今まさに実践を行っている田中純子氏(岡山市立京山公民館社会教育主事)より地域活動の事例を紹介していただいた。この日最後の講師である君塚仁彦氏(東京学芸大学教授)からは、1980年代には、美術館は社会教育施設からはずすべきだ、という考えもあったが、特に1990年代以降の教育普及活動が盛り上がりを見せ、そのお陰で、今まさに美術館は社会教育施設として、その社会的意味を保っていると述べられた。
 もともとこの研修は、2011年3月14日に実施予定のものだったが、東日本大震災により12月に延期になったものである。しかし、皮肉なことかもしれないが、この未曾有の災害は、社会における美術館の意味を問い直す機会にもなった。参加者のこの研修への期待とまた研修後の興奮を見ると、延期という形であるが、実施した意味はあったように思う。129名という参加者の数がそれを物語っているといえよう。

スケジュール

09:30−10:00 受付
10:00−10:10 はじめに
         鬼本佳代子(大原美術館/教育普及研究部会幹事)
10:10−10:25 「社会教育と美術館」挨拶にかえて
         米田耕司(長崎県美術館長/教育普及研究部会長)
10:25−10:50 「なぜこの研修が必要か」
         端山聡子氏(平塚市教育委員会社会教育課)
10:50−11:50 「社会教育の理念・歴史と美術館」
         松田武雄氏(名古屋大学大学院教授)
11:50−12:50 実践報告
        「住民とともに、地域のなかで−美術館の教育普及を考えるために」
         手塚英男氏(生涯学習実践者/松本市あがたの森文化会館初代館長)
12:50−14:40 −昼食−
14:40−15:40 「社会教育の現在と未来」
         佐藤一子氏(法政大学教授)
15:40−16:20 実践報告「人が輝き、地域が輝く公民館」
         田中純子氏(岡山市立京山公民館社会教育主事)
16:20−17:00 「美術館の教育普及活動と博物館学−
        1990年代前後、語られ始めの頃を中心に−」 
         君塚仁彦氏(東京学芸大学教授)
17:00−17:20 休憩
17:20−17:50 質疑応答
17:50−18:00 おわりに 米田耕司(長崎県美術館長/教育普及研究部会長)

※2012年4月より平塚市美術館

懇親会

18:30~
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