情報・資料研究部会

日時
2021年6月24日(木)
10:30~12:00
場所
オンライン開催

第58回情報・資料研究部会会合報告

内 容 

1. 報告事項
 (1) 全国美術館会議総会・活動報告
    6月4日に行われた全美総会では、幹事の鴨木氏が、情報・資料研究部会として2017年度か
  ら取り組んできた「アーカイブズ資料所在調査」の概要を、具体的なデータやグラフなどを示
  しながら発表。部会では当日の模様を動画で視聴し、情報を共有した。主な内容は次のとお
  り。
  ・予想を大幅に上回る回答数(美術館数209
   館、資料数505件)があり、アーカイブズ
   資料の有無と名称の公開について、条件付
   きも含めると半数が公開OKだった。
  ・資料整理、保存、公開に関する課題と悩み
   の回答内容は、大きくわけて次の4つ:
   「人員、予算、場所、時間の問題」「方
   法、知識、技術の問題」「資料に関する情
   報の引き継ぎの問題」「所有権、著作権、個人情報保護の問題」。
  ・今後のスケジュール:8月中に各館へ事前確認後、10月頃に全美HPにてエクセルとPDFで所
   蔵館情報を公開予定。
  ・2021年度は、ジャパンサーチとのつなぎ役としてオンラインセミナー等の開催を検討す
   る。
 (2) ジャパンサーチ連携説明会報告
    6月11日に開催されたジャパンサーチ連携説明会の第一部では、ジャパンサーチとの連携
  事例報告の一つとして、鴨木氏が東京富士美術館での試みを紹介後、全美のつなぎ役としての
  取り組みについても報告。第二部では「地域アーカイブをつくる・つなぐ・つかう」をテー
  マに、パネルディスカッションに参加。当日の模様は、下のYoutubeで視聴可能であるとの
  由。https://jpsearch.go.jp/event/cooperation2021
 (3) アート・ドキュメンテーション学会2021年度年次大会報告
    http://www.jads.org/news/2021/20210619-20.html
    幹事の川口氏が司会をつとめた同大会(2021年6月19日〜20日・参加者数約240名)では
  美術館コレクションの横断検索プラットフォームをテーマにシンポジウムが開催され、全美の
  つなぎ役についての事例(鴨木氏)と、文化庁のアートプラットフォーム事業SHUZOについ
  ての報告が行われた。
   横断検索それ自体が目的化しないよう、現
  場の美術館のコレクションと情報管理につい
  て栗田秀法さん(名古屋大)にもご登壇いた
  だき、総括として副田一穂さん(愛知県美術
  館)と石黒礼子さん(金沢21世紀美術館)に
  コメントをいただいた。学会の大会として横
  断検索の最終目的をどう
  考えるかについてまで到達できなかったが、
  多岐に渡る情報が紹介・共有された同大会の、参加者アンケート回答は概ね好評であったとの
  ことである。
   当日鴨木氏が行ったジャパンサーチとの連携デモンストレーションは、今後参加館を増やす
  目的の研修会でもぜひやれるとよい。また東京富士美術館のケースは特殊なため、ほかの館の
  ケースも見る機会があるとよい、との意見が出された。

2.「美術関係アーカイブズ資料所在調査」について
   部会員の谷口氏が整えたエクセル表(「レベル1」=所蔵情報を全美HPで公開可の館)を画
 面共有で確認しながら協議を行った。
 (1) レベル1」の現状と公開項目など
   ・アンケート回答集計後、集計もれの1館・資料群6件が増えた一方、4館の回答内容は当部
    会の意図する資料群とは性格が違うため、リストから削除する(その旨を各館へ要連
    絡)。
    従って、全美総会での発表から数の変更
    が生じることとなる。
   ・調査票2に調査票1の各館の住所と電話番
    号を合体し、「資料群の読み」「資料を
    個別に紹介するURL」の項目を追加して
    表を整える。
   ・調査表記入者名以外は全て公表とするが
    公表不可な項目があれば希望をとる。
   ・館の代表番号以外にアーカイブに関する問い合わせ先があれば、教えてもらう。
   ・館によって回答方法に濃淡があるのは問題ないが、部会メンバーから3種ほどサンプルを
    添えて書き方の参考にしてもらう。
   ・公表の際は2019年12月時点での回答だったことを明記する
   ・アンケート回答後に情報が整い公開可の資料群が増えた場合は、行を挿入して追記可能と
    する。
   ・逆に、公表を希望しない内容があった場合、データは削除可だが、列や行ごと削除しない
    よう、念押しする。
 (2) 今後の作業の進め方分担検討
    所蔵館への確認方法・確認内容
   ・鴨木氏がエクセルの一覧を各館に切り分けた上で、各部会員に担当館のファイルを送信す
    る。
   ・メール確認の統一の文面は、谷口氏と鴨木氏で案を作成する。
   ・簡単な問い合わせには各担当から回答する。込み入った問い合わせは幹事に転送し、対応
    を検討する。
   ・館の番号はひとまず現状ママとする。いずれ情報・資料研究部会で共通で使える番号があ
    るとよい。公開前に再検討する。
   ・スケジュール:7月終わりに問い合わせを開始、1ヶ月掛けてチェックしてもらって、8月
    末日を回答締切とする。専用のクラウドをあらかじめ作っておき、各部会員は確認の済ん
    だファイルをそちらへ保存していく。
   ・未回答があった場合は、催促または次回の機会に回す。
   ・今後は、レベル1の次のレベルの館をどうするかを検討する。

3.  ジャパンサーチ関連
   まもなく新たに1館が、全美をつなぎ役としてジャパンサーチと連携予定。これに関するリリ
 ースを全美HPのニュース欄に掲載し、普及に努める。

4.  ジャパンサーチ参加啓蒙の取り組みについて
   参加館を増やすためのイベントを、年度内に1回(例えば10月)オンラインで開催してはど
 うか。内容は、例えば、すでに連携した館(愛知県立美術館、ポーラ美術館、東京富士美術館
 等)の各担当者が登壇し、いろいろな連携方法のパターンの紹介、または簡単な座談会など。横
 浜美術館の八柳氏のように、館としてではなく、授業をする大学の利用者の角度から、プロジェ
 クト機能のアカウント(*)を取得、ジャパンサーチのアイテムを使ってギャラリー等を作る権
 限を持った学芸員の事例もある。利用する立場からの声も聞けるとよいかも知れない。ジャパン
 サーチと連携するメリットを紹介するのは効果が期待できるが、連携と利用の両方を盛り込むと
 ボリュームがでるためイベントは別けて設定するのがよいかもしれない。また部会員の松山氏か
 らは、実務サイドからだけではなく、館長・課長レベルにもジャパンサーチとの連携の意義・メ
 リットを理解してもらうことでトップダウンの動きが作れるとよいのでは、との提案があった。
 鴨木氏が企画の原案を作成し、部会員に投げかけ、検討を進める。

*非連携の機関・個人でも申請制により取得可能。ただし、プロジェクト上で公開されるギャラリ
 ー等はジャパンサーチ本体の検索対象にはならない。

5. 全美HP研究部会紹介ページの更新について
  2015年からアップデートが止まっているため更新する。これまでは過去の活動の具体例を記
 述してきたが、今後は、あまり更新する必要がない内容にする(鴨木氏が原稿案を作成)。

○第59回部会の開催予定:後日メールで改めて相談。9月予定。
   
(報告者:ちひろ美術館・東京 中平洋子)

参加者:8名

越智裕二郎(西宮市大谷記念美術館)部会長
鴨木年泰(東京富士美術館)幹事
川口雅子(国立西洋美術館)幹事
谷口英理(国立新美術館)
中平洋子(ちひろ美術館・東京)
長名大地(東京国立近代美術館)
松山ひとみ(大阪中之島美術館準備室)
オブザーバー
小林豊子(全国美術館会議事務局)
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