第55回教育普及研究部会会合報告
2021年1月8日から11の都道府県に2度目の緊急事態宣言が発出されたため、第55回会合もオンラインで開催した。ここでは、その詳細を報告したい。
オンライン会合の利点として、移動時間や旅費がかからないことや、参加者がフラットな関係で話し合えることが挙げられる。しかし、オンライン開催した第54回会合後のアンケートで、「長時間画面に集中しなければならず疲れる」、「対面時と比べて自由な発言がしにくくなる」といった意見も寄せられた。そのため、第55回会合については、一日にすべてを集約して行うのではなく、ディスカッションを重視したいくつかの分科会を別日に設けて、その分科会の報告会を全体会合として開催することとした。
分科会は、「学校との連携」、「オンラインプログラム」の2つのテーマと、特にテーマを定めない「フリートーク」の計3回開催した。各分科会のファシリテーターは立候補と幹事からの推薦によって決められ、各ファシリテーターが各々の経験や知見を活かしてくれた。
まず、分科会1.「学校との連携について」(開催日時:2021年2月25日(木)14:00~16:00、参加者:35名、35端末)では、横浜美術館の古藤陽さん、東京富士美術館の平谷美華子さん、京都国立近代美術館の松山沙樹さん、西宮市大谷記念美術館の作花麻帆さんがファシリテーターを務め、「コロナ禍における学校との連携」「学校との連携/コロナ後」の2つのテーマについて話し合った。話し合いは、Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って4グループに分かれ、テーマ別にメンバーを入れ替えて意見交換を行った。コロナ禍において、オンラインによる学校向けの鑑賞プログラムが実施されたことは評価されるべきであり、これからの美術館の教育普及活動の可能性を感じるものであったが、「美術館に行く」という経験がやはり大事なのではないかという意見もあり、美術館という場所性を改めて考え直す機会となった。
分科会2.「オンラインプログラムについて」(開催日時:2021年3月2日(火)14:00~16:00、参加者:35名、35端末)では、ファシリテーターを務めた諸橋近代美術館の佐藤芳哉さん、水戸芸術館現代美術センターの佐藤麻衣子さん、福岡アジア美術館の蒲池昌江さん、福岡市美術館の﨑田明香さんたちによる、対談による簡単な事例紹介から開始された。手作りの人形劇形式に出席者の反応もよく、和やかなスタートであった。その後ブレイクアウトルーム機能を使い、ディスカッション1では(1)オンラインプログラムの検証、(2)アクセシビリティや相互性、をテーマに、ディスカッション2では(3)オンライン+リアルのプログラム、(4)オンライン以外のプログラム、をテーマにそれぞれ意見交換が行われた。ファシリテーターが事前の話し合いを重ねていたため、分科会2は課題が明確で、オンラインであろうがなかろうが、美術館がやるべきことに変わりはない、という結論に帰着した。
分科会3.「フリートーク」(開催日時:2021年3月11日(木)14:00~16:00、参加者:24名、24端末)では、世田谷美術館の塚田美紀さん、東京国立近代美術館の細谷美宇さん、森美術館の白木栄世さん、京都国立近代美術館の松山沙樹さん、個人会員の齊藤佳代さんがファシリテーターを務め、「闇鍋の会」と称して参加者を5つの鍋グループを分け、雑談を通して昨今の教育普及事業における目的や課題を話し合った。他の分科会とは異なり、テーマが定まっていなかったため話題が多岐にわたり、会員の話に耳をすましながら、美術館の教育普及活動の根本的な部分を各々がふりかえるような場となった。
3つの分科会を経て開催された第55回会合(開催日時:3月18日(木)14:00~16:30、参加者:49名)では、各分科会による開催報告と、それを受けての全体討議が行われた。分科会1と分科会2は、それぞれの課題にフォーカスした内容であったのに対して、分科会3は、先が見えないところを手探りで進んでいくような、目には見えない大きな課題を、みんなで注視していくような内容であったことが印象的であった。振り返ってみると、各分科会を開催するにあたり、幹事2名と各ファシリテーターとで重ねた話し合い自体が濃密なワークショップであり、分科会および会合は、そこで得られたものを会員同士で共有する場であったということができるかと思う。
オンライン会合の利点として、移動時間や旅費がかからないことや、参加者がフラットな関係で話し合えることが挙げられる。しかし、オンライン開催した第54回会合後のアンケートで、「長時間画面に集中しなければならず疲れる」、「対面時と比べて自由な発言がしにくくなる」といった意見も寄せられた。そのため、第55回会合については、一日にすべてを集約して行うのではなく、ディスカッションを重視したいくつかの分科会を別日に設けて、その分科会の報告会を全体会合として開催することとした。
分科会は、「学校との連携」、「オンラインプログラム」の2つのテーマと、特にテーマを定めない「フリートーク」の計3回開催した。各分科会のファシリテーターは立候補と幹事からの推薦によって決められ、各ファシリテーターが各々の経験や知見を活かしてくれた。
まず、分科会1.「学校との連携について」(開催日時:2021年2月25日(木)14:00~16:00、参加者:35名、35端末)では、横浜美術館の古藤陽さん、東京富士美術館の平谷美華子さん、京都国立近代美術館の松山沙樹さん、西宮市大谷記念美術館の作花麻帆さんがファシリテーターを務め、「コロナ禍における学校との連携」「学校との連携/コロナ後」の2つのテーマについて話し合った。話し合いは、Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って4グループに分かれ、テーマ別にメンバーを入れ替えて意見交換を行った。コロナ禍において、オンラインによる学校向けの鑑賞プログラムが実施されたことは評価されるべきであり、これからの美術館の教育普及活動の可能性を感じるものであったが、「美術館に行く」という経験がやはり大事なのではないかという意見もあり、美術館という場所性を改めて考え直す機会となった。
分科会2.「オンラインプログラムについて」(開催日時:2021年3月2日(火)14:00~16:00、参加者:35名、35端末)では、ファシリテーターを務めた諸橋近代美術館の佐藤芳哉さん、水戸芸術館現代美術センターの佐藤麻衣子さん、福岡アジア美術館の蒲池昌江さん、福岡市美術館の﨑田明香さんたちによる、対談による簡単な事例紹介から開始された。手作りの人形劇形式に出席者の反応もよく、和やかなスタートであった。その後ブレイクアウトルーム機能を使い、ディスカッション1では(1)オンラインプログラムの検証、(2)アクセシビリティや相互性、をテーマに、ディスカッション2では(3)オンライン+リアルのプログラム、(4)オンライン以外のプログラム、をテーマにそれぞれ意見交換が行われた。ファシリテーターが事前の話し合いを重ねていたため、分科会2は課題が明確で、オンラインであろうがなかろうが、美術館がやるべきことに変わりはない、という結論に帰着した。
分科会3.「フリートーク」(開催日時:2021年3月11日(木)14:00~16:00、参加者:24名、24端末)では、世田谷美術館の塚田美紀さん、東京国立近代美術館の細谷美宇さん、森美術館の白木栄世さん、京都国立近代美術館の松山沙樹さん、個人会員の齊藤佳代さんがファシリテーターを務め、「闇鍋の会」と称して参加者を5つの鍋グループを分け、雑談を通して昨今の教育普及事業における目的や課題を話し合った。他の分科会とは異なり、テーマが定まっていなかったため話題が多岐にわたり、会員の話に耳をすましながら、美術館の教育普及活動の根本的な部分を各々がふりかえるような場となった。
3つの分科会を経て開催された第55回会合(開催日時:3月18日(木)14:00~16:30、参加者:49名)では、各分科会による開催報告と、それを受けての全体討議が行われた。分科会1と分科会2は、それぞれの課題にフォーカスした内容であったのに対して、分科会3は、先が見えないところを手探りで進んでいくような、目には見えない大きな課題を、みんなで注視していくような内容であったことが印象的であった。振り返ってみると、各分科会を開催するにあたり、幹事2名と各ファシリテーターとで重ねた話し合い自体が濃密なワークショップであり、分科会および会合は、そこで得られたものを会員同士で共有する場であったということができるかと思う。
(報告者:教育普及研究部会幹事/横須賀美術館 中村貴絵)
出席者:49名
部会員45名、オブザーバー3名、事務局1名