第38回美術館運営研究部会会合報告
内 容
議題:1 学芸員聞き取り調査結果を踏まえた今後の活動について
2 その他
第37回会合(2024年1月)から1年ぶりの会合はオンラインにより開催した。
最初に釈明させていただくと、幹事の安田は2024年4月1日付けで奈良県立美術館から高知県立美術館へ転職・転居をしており、それに伴う身辺整理などで部会活動に多少なりとも影響があったことは否定できない。さらに2024年後半には、同じく当部会のメンバーである貝塚健(千葉県立美術館)、大島徹也(多摩美術大学美術館)の両氏とともに「全国美術館会議の有志」として《DIC川村記念美術館の適正な存続をお願いする要望書と署名活動》を行ったことも付け加えさせていただく。これについては、大島氏が2月発行予定の機関誌《ZENBI》27号に「DIC川村記念美術館の適正な存続をお願いする要望書と署名活動について―報告と私見」を寄稿されたので、ご一読いただければ幸いである。
さて、部会の会合では、まず体
制の変更が報告された。部会会合後の1月30日に開催された全国美術館会議企画委員会・理事会でも承認されたことであるが、部会長が浅野秀剛氏(大和文華館)からこれまで幹事であった安田に交代することとなった。幹事には当面浅野氏にスライドしていただくがこれは臨時的措置であり、幹事の選任は引き続き課題である。
そして今回の会合の本題となったのは、昨2024年6月に全国美術館会議ウェブサイトで発表した『現場の声を聴く~学芸員聞き取り調査について』を踏まえ、今後どのような活動を展開していくか、ということであった。
博物館法一部改正が2023年4月に施行されたとはいうものの、以前から日本学術会議や日本博物館協会などが提唱してきた学芸員資格や在り方に関する根本的な見直しは盛り込まれなかった。また、博物館法改正に向けた議論と検討の場であった文化庁文化審議会・博物館部会は(文化施設部会への改組という形で)解散し、学芸員の在り方に関して今後政府として検討を続けるのかどうかも不透明である。その一方、上記の聞き取り調査にも現れているように、学芸員の現場には様々な課題が存在しており、かつ、個々の意識や感じ方も様々で、そこには所属館の設置主体・規模等による差異も見受けられる(小規模な館では全国美術館会議に加盟していないところもある)。また、学芸員自らによる「学芸員」についてのイメージが必ずしも一様ではないとさえ言える。
そこで、これまでは部会の中で調査・意見交換を重ね、全国美術館会議の枠の中で発表する形をとってきたが、そうした垣根を越えて情報共有・意見交換をする場を、とにかく一度は作ってみるべきであろうという方向になった。具体的には、全美会員でなくても参加できるウェブ会議で自由に学芸員像を語ってみるというものである。そこで、今後は現・幹事=新・部会長を中心に会議の企画を練っていくこととした次第である。
もう一つ今回の会合の中で出てきたこととして、文化庁文化審議会・博物館部会でも議論の俎上に上がった科研費に関することがある。現実には科研費を申請できる機関として認められている美術館もいくつか存在する。しかしながら、そうした館では、科研費交付に関する膨大な事務処理が総務部署にかなりの負担を与えているという問題も指摘された。そこで、科研費に固執するよりも、学芸員が申請・受給しやすい新たな助成金システムを求める声をあげてみてはどうかという意見も出された。こうした論点も含めて学芸員を語るウェブ会議をできればと考えている。
次回の部会会合については未定のままであるが、当面は部会のメーリングリストで意見交換しながら進めていくつもりである。
2 その他
第37回会合(2024年1月)から1年ぶりの会合はオンラインにより開催した。
最初に釈明させていただくと、幹事の安田は2024年4月1日付けで奈良県立美術館から高知県立美術館へ転職・転居をしており、それに伴う身辺整理などで部会活動に多少なりとも影響があったことは否定できない。さらに2024年後半には、同じく当部会のメンバーである貝塚健(千葉県立美術館)、大島徹也(多摩美術大学美術館)の両氏とともに「全国美術館会議の有志」として《DIC川村記念美術館の適正な存続をお願いする要望書と署名活動》を行ったことも付け加えさせていただく。これについては、大島氏が2月発行予定の機関誌《ZENBI》27号に「DIC川村記念美術館の適正な存続をお願いする要望書と署名活動について―報告と私見」を寄稿されたので、ご一読いただければ幸いである。
さて、部会の会合では、まず体
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そして今回の会合の本題となったのは、昨2024年6月に全国美術館会議ウェブサイトで発表した『現場の声を聴く~学芸員聞き取り調査について』を踏まえ、今後どのような活動を展開していくか、ということであった。
博物館法一部改正が2023年4月に施行されたとはいうものの、以前から日本学術会議や日本博物館協会などが提唱してきた学芸員資格や在り方に関する根本的な見直しは盛り込まれなかった。また、博物館法改正に向けた議論と検討の場であった文化庁文化審議会・博物館部会は(文化施設部会への改組という形で)解散し、学芸員の在り方に関して今後政府として検討を続けるのかどうかも不透明である。その一方、上記の聞き取り調査にも現れているように、学芸員の現場には様々な課題が存在しており、かつ、個々の意識や感じ方も様々で、そこには所属館の設置主体・規模等による差異も見受けられる(小規模な館では全国美術館会議に加盟していないところもある)。また、学芸員自らによる「学芸員」についてのイメージが必ずしも一様ではないとさえ言える。
そこで、これまでは部会の中で調査・意見交換を重ね、全国美術館会議の枠の中で発表する形をとってきたが、そうした垣根を越えて情報共有・意見交換をする場を、とにかく一度は作ってみるべきであろうという方向になった。具体的には、全美会員でなくても参加できるウェブ会議で自由に学芸員像を語ってみるというものである。そこで、今後は現・幹事=新・部会長を中心に会議の企画を練っていくこととした次第である。
もう一つ今回の会合の中で出てきたこととして、文化庁文化審議会・博物館部会でも議論の俎上に上がった科研費に関することがある。現実には科研費を申請できる機関として認められている美術館もいくつか存在する。しかしながら、そうした館では、科研費交付に関する膨大な事務処理が総務部署にかなりの負担を与えているという問題も指摘された。そこで、科研費に固執するよりも、学芸員が申請・受給しやすい新たな助成金システムを求める声をあげてみてはどうかという意見も出された。こうした論点も含めて学芸員を語るウェブ会議をできればと考えている。
次回の部会会合については未定のままであるが、当面は部会のメーリングリストで意見交換しながら進めていくつもりである。
(文責:安田 篤生)
出席者:14名
浅野秀剛(部会長:大和文華館)
安田篤生(幹事:高知県立美術館)
岡部信幸(山形美術館)
大浦 周(埼玉県立近代美術館)
笠嶋忠幸(出光美術館)
大島徹也(多摩美術大学美術館)
青木加苗(和歌山県立近代美術館)
小林 公(兵庫県立美術館)
柳澤宏美(高知県立美術館)
小坂智子(長崎県美術館)
渋谷拓(金沢美術工芸大学)[個人会員]
山梨俊夫(元・国立国際美術館)[個人会員]
山本成子(国立工芸館)[個人会員]
オブザーバー
小林豊子(事務局)
安田篤生(幹事:高知県立美術館)
岡部信幸(山形美術館)
大浦 周(埼玉県立近代美術館)
笠嶋忠幸(出光美術館)
大島徹也(多摩美術大学美術館)
青木加苗(和歌山県立近代美術館)
小林 公(兵庫県立美術館)
柳澤宏美(高知県立美術館)
小坂智子(長崎県美術館)
渋谷拓(金沢美術工芸大学)[個人会員]
山梨俊夫(元・国立国際美術館)[個人会員]
山本成子(国立工芸館)[個人会員]
オブザーバー
小林豊子(事務局)