第34回美術館運営制度研究部会会合報告
内 容
議題:1 第35回(2020年度)学芸員研修会の報告書について
2 博物館法改正の動きについて
3 今後の部会活動について
2021(令和3)年度最初の美術館運営制度研究部会(以下「MRG」)会合は、コロナ禍を考慮し、初めて全員がZoomによるオンライン参加となった。同時に、山梨俊夫前部会長が国立国際美術館を退任したことにより部会長も退かれたため、浅野秀剛新部会長(大和文華館)による最初の部会会合ともなった。
会合ではまず、本年3月に開催した第35回(2020年度)学芸員研修会の報告書制作状況を報告。制作は順調で、この活動報告がウェブサイトに発表される頃には完成している予定である。なお、研修会の席上並びに報告書内において、2020年9月から10月にかけて実施した「新型コロナウイルス感染拡大防止対策における美術館の入館者対応に関するアンケート」の結果概要が報告されたが、詳細な結果の分析とその発表は今後の課題として残されている。
続いて、これも報告事項となるが、現在進行形である博物館法改正の動きが議題となった。
かねてより文化庁の文化審議会・博物館部会で博物館法改正に向けた討議が行われており、その下部に設置された「法制度の在り方に関するワーキンググループ」が法改正に向けたポイントをまとめ、今年3月に中間報告を発表した。その後、博物館の現場から意見を広く聴くということで、文化庁から全国美術館会議を含む館種別各分野の団体に働きかけがあった。これを受け、全国美術館会議では7月15日付けで会員への意見聴取をウェブサイト及びメーリングリストで実施したのは、みなさまもご承知のことと思う。その意見を入れつつ、会長以下数名でまとめた意見書を文化庁へ提出するとともに、8月5日、法制度の在り方に関するワーキンググループ会合でのヒアリング(Zoomミーティング)において口頭報告が実施された。
ヒアリングでは、結果的に安田が全国美術館会議から指名されて代表のように発言する形となったが、その内容は上記の流れで集まった現場の意見をある程度整理して体裁をまとめたものであり、機関決定された全国美術館会議の総意としての見解ではない点は注釈しておきたい。報告の主なポイントとしては「博物館は非営利であるべき」「社会教育施設というのは変えるべきでない」「研究機関であるということをはっきりさせてほしい」「登録のメリットをはっきりさせる」「多少は外形的な登録の基準が必要(組織の管理形態、学芸員の数、雇用形態等)」「学芸員の専門性・多様性が必要である」「大規模、小規模館の違いはあるので、協力・連携の枠を作るべき」などである。
文化審議会・博物館部会には、全国美術館会議副会長でありMRGメンバーでもある逢坂恵理子国立新美術館長が参加しており、この日のMRG会合でも報告のあと活発な意見交換が行われた。博物館部会及びワーキンググループでの討議は今後も続けられる予定で、いずれもZoomでの傍聴が可能であることを付け加えておく。
最後に、これが肝心なことであるが、今後のMRGの活動をどのようにしていくか、意見交換を行った。一つには、2017年にまとめた『美術館の原則と美術館関係者の行動指針』の見直しである。この冊子には「5年ごとに、理事会及び総会において、この『美術館の原則と美術館関係者の行動指針』の見直しを行い」「理事会は、その見直しの作業を美術館運営制度研究部会に委嘱することができる」云々という付則がある(冊子p.16)。MRGの姿勢としては、上記のように博物館法改正の動きが進められているので、内容の見直しはその動向が定まってからがよいのでは、ということになった。一方、外部に向けて美術館の役割・存在意義を積極的に発信していくべきという声が上がった。もう一つ、第35回学芸員研修会でも取り上げたように、コロナ禍で美術館の運営・経営はますます厳しくなっている。そこで、設置主体・施設規模・地域など対象に幅を持たせつつ、可能な範囲で美術館の運営・財務状況の情報を集めて把握することにしてはどうか、ということになった。
次回の会合については、秋以降、ワクチン接種の広がりなどを考慮しつつ、できれば対面会議での開催を行いたいと考えている。
2 博物館法改正の動きについて
3 今後の部会活動について
2021(令和3)年度最初の美術館運営制度研究部会(以下「MRG」)会合は、コロナ禍を考慮し、初めて全員がZoomによるオンライン参加となった。同時に、山梨俊夫前部会長が国立国際美術館を退任したことにより部会長も退かれたため、浅野秀剛新部会長(大和文華館)による最初の部会会合ともなった。
会合ではまず、本年3月に開催した第35回(2020年度)学芸員研修会の報告書制作状況を報告。制作は順調で、この活動報告がウェブサイトに発表される頃には完成している予定である。なお、研修会の席上並びに報告書内において、2020年9月から10月にかけて実施した「新型コロナウイルス感染拡大防止対策における美術館の入館者対応に関するアンケート」の結果概要が報告されたが、詳細な結果の分析とその発表は今後の課題として残されている。
続いて、これも報告事項となるが、現在進行形である博物館法改正の動きが議題となった。
かねてより文化庁の文化審議会・博物館部会で博物館法改正に向けた討議が行われており、その下部に設置された「法制度の在り方に関するワーキンググループ」が法改正に向けたポイントをまとめ、今年3月に中間報告を発表した。その後、博物館の現場から意見を広く聴くということで、文化庁から全国美術館会議を含む館種別各分野の団体に働きかけがあった。これを受け、全国美術館会議では7月15日付けで会員への意見聴取をウェブサイト及びメーリングリストで実施したのは、みなさまもご承知のことと思う。その意見を入れつつ、会長以下数名でまとめた意見書を文化庁へ提出するとともに、8月5日、法制度の在り方に関するワーキンググループ会合でのヒアリング(Zoomミーティング)において口頭報告が実施された。
ヒアリングでは、結果的に安田が全国美術館会議から指名されて代表のように発言する形となったが、その内容は上記の流れで集まった現場の意見をある程度整理して体裁をまとめたものであり、機関決定された全国美術館会議の総意としての見解ではない点は注釈しておきたい。報告の主なポイントとしては「博物館は非営利であるべき」「社会教育施設というのは変えるべきでない」「研究機関であるということをはっきりさせてほしい」「登録のメリットをはっきりさせる」「多少は外形的な登録の基準が必要(組織の管理形態、学芸員の数、雇用形態等)」「学芸員の専門性・多様性が必要である」「大規模、小規模館の違いはあるので、協力・連携の枠を作るべき」などである。
文化審議会・博物館部会には、全国美術館会議副会長でありMRGメンバーでもある逢坂恵理子国立新美術館長が参加しており、この日のMRG会合でも報告のあと活発な意見交換が行われた。博物館部会及びワーキンググループでの討議は今後も続けられる予定で、いずれもZoomでの傍聴が可能であることを付け加えておく。
最後に、これが肝心なことであるが、今後のMRGの活動をどのようにしていくか、意見交換を行った。一つには、2017年にまとめた『美術館の原則と美術館関係者の行動指針』の見直しである。この冊子には「5年ごとに、理事会及び総会において、この『美術館の原則と美術館関係者の行動指針』の見直しを行い」「理事会は、その見直しの作業を美術館運営制度研究部会に委嘱することができる」云々という付則がある(冊子p.16)。MRGの姿勢としては、上記のように博物館法改正の動きが進められているので、内容の見直しはその動向が定まってからがよいのでは、ということになった。一方、外部に向けて美術館の役割・存在意義を積極的に発信していくべきという声が上がった。もう一つ、第35回学芸員研修会でも取り上げたように、コロナ禍で美術館の運営・経営はますます厳しくなっている。そこで、設置主体・施設規模・地域など対象に幅を持たせつつ、可能な範囲で美術館の運営・財務状況の情報を集めて把握することにしてはどうか、ということになった。
次回の会合については、秋以降、ワクチン接種の広がりなどを考慮しつつ、できれば対面会議での開催を行いたいと考えている。
(文責:安田 篤生)
出席者:13名
浅野秀剛(部会長:大和文華館)
安田篤生(幹事:奈良県立美術館)
貝塚 健(石橋財団アーティゾン美術館)
逢坂恵理子(国立新美術館)
雪山行二(富山県美術館)
青木加苗(和歌山県立近代美術館)
篠 雅廣(大阪市立美術館)
越智裕二郎(西宮市大谷記念美術館)
柳澤宏美(高知県立美術館)
大島徹也(多摩美術大学)
村上博哉(武蔵野美術大学)
山本 成子(高岡市立博物館)
オブザーバー
小林豊子(事務局)
安田篤生(幹事:奈良県立美術館)
貝塚 健(石橋財団アーティゾン美術館)
逢坂恵理子(国立新美術館)
雪山行二(富山県美術館)
青木加苗(和歌山県立近代美術館)
篠 雅廣(大阪市立美術館)
越智裕二郎(西宮市大谷記念美術館)
柳澤宏美(高知県立美術館)
大島徹也(多摩美術大学)
村上博哉(武蔵野美術大学)
山本 成子(高岡市立博物館)
オブザーバー
小林豊子(事務局)