教育普及研究部会過去の活動

日時
2009年12月2日(水) ~2009年12月3日(木)
場所
京都造形芸術大学 直心館

第35回教育普及研究部会会合報告

内容

 今回の会合は、「第2回フォーラム・連続公開インタビュー 教育的視点から見た関西の美術館・博物館の普及事業―草創期を探る」を主催する、という形で行われました。このフォーラムは、2008年8月に目黒区美術館主催で、同研究部会が協力という形で参加した「フォーラム・連続公開インタビュー 美術館ワークショップの再確認と再考察─草創期を振り返る」の、いわば続きとなるものです。全国美術館会議のホームページでもすでにご報告いたしましたが、2008年のフォーラム・連続公開インタビューは、大変好評を博し、今後も続けてほしいという多くの声を聞きました。また、それ以上に、当部会として、教育普及の草創期に関わってきた人たちの話を記録し、残していくことの必要性を強く感じたため、第2回を開くこととなったのです。ただし、今回は、同研究部会と京都造形芸術大学 芸術教育資格支援センターが主催となり、目黒でのものが関東圏中心だったことを受け、会場の関係もあり話題を関西にしぼりました。さらに、美術館の教育普及活動をより多面的に見据える為に、内容をワークショップに限らず普及事業全般に広げ、さらに博物館についてやアーティストからも話を聞くこととなりました。
 さて、初日は森田恒之氏(国立民族学博物館名誉教授、元埼玉県立博物館学芸員、元東京都美術館学芸員)、山脇一夫氏(金城学園大学教授、元兵庫県立近代美術館学芸員、元名古屋市美術館学芸課長)、森本孝氏(伊勢市立佐八小学校教頭、元三重県立美術館普及課長)、2日目は藤本由紀夫氏(アーティスト)、佐久間大輔氏(大阪市立自然史博物館学芸員)、吉中充代氏(京都市美術館学芸係長、元姫路市立美術館学芸員)、浜田拓志氏(和歌山県立近代美術館主幹兼普及課長)と、計7名の方にインタビューを行いました。また、聞き手は、主に同部会のメンバーが担当いたしました。
 関西の教育普及活動については、他の地域にいるものが聞く機会が少ないこともあり、その話は非常に新鮮で、またやはり関東圏で行うフォーラム以上に、その館あるいはその地域固有の資源やネットワークを意識した教育普及活動を展開している館が多いようにも感じられました。
 また、藤本氏のアーティストの視点から見た美術館活動への疑問や、佐久間氏の大阪市立自然史博物館の利用者との相互の強い関係についての話は、教育普及をこえて、現在の美術館の在り方そのものを考えさせられるものでした。
 しかし、参加者は時期的なものもあったのかもしれませんが、のべ200人以下とふるわず、関西圏における教育普及活動への関心が、それほど高くない、ということ現れともとれる状況でした。ですが、だからこそ教育普及活動の記録と記憶が消えていく可能性も高く、このタイミングで担当者に話を聞いておく必要性も感じました。
 来年度も引き続き、このようなフォーラム・連続公開インタビューを部会に盛り込んでいきたいと思います。

(報告者 大原美術館・鬼本佳代子)

参加部会員

21人
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