陸前高田市立博物館被災美術作品等救援活動について(中間報告)
平成23年8月31日
全国美術館会議東日本大震災対策本部1 経緯
陸前高田市立博物館(岩手県)は、3月11日の津波により、甚大な被害を受けました。被災後、自衛隊等の手によって瓦礫などの撤去作業が実施されたのち、同館の歴史、生物、考古、民俗等の資料は関係者の手によって順次関係機関に移送されました。しかしながら500号、300号の大型作品も含む洋画作品約50点、書作品約70点については同館に残されたままでした。
そこで、岩手県教育委員会から文化庁次長宛に5月2日付の文書で支援要請が出され、「文化財レスキュー事業」の一環としての救援事業が開始されました。全国美術館会議は、東北地方太平洋地震被災文化財等救援委員会(以下、「救援委員会」)事務局からの依頼を受け、同救援活動に参加しました。
被災美術作品等の梱包・移送作業は7月12日から14日にかけておこなわれ、8月21日からは全国美術館会議の派遣職員が盛岡市内の施設(以下「盛岡ラボ」)で、保存修復の専門家、救援委員会事務局職員、国立美術館職員等と共に、156件に及ぶ作品の応急処置作業に従事。作業は9月25日に終了しました。9月17日、岩手県立美術館に盛岡ラボから油彩画20点を搬入。9月29日には残りの油彩画及び書を搬入。156件の保管に係る作業は9月30日に完了しました。
そこで、岩手県教育委員会から文化庁次長宛に5月2日付の文書で支援要請が出され、「文化財レスキュー事業」の一環としての救援事業が開始されました。全国美術館会議は、東北地方太平洋地震被災文化財等救援委員会(以下、「救援委員会」)事務局からの依頼を受け、同救援活動に参加しました。
被災美術作品等の梱包・移送作業は7月12日から14日にかけておこなわれ、8月21日からは全国美術館会議の派遣職員が盛岡市内の施設(以下「盛岡ラボ」)で、保存修復の専門家、救援委員会事務局職員、国立美術館職員等と共に、156件に及ぶ作品の応急処置作業に従事。作業は9月25日に終了しました。9月17日、岩手県立美術館に盛岡ラボから油彩画20点を搬入。9月29日には残りの油彩画及び書を搬入。156件の保管に係る作業は9月30日に完了しました。
2 救援活動の概要
- 平成23年5月2日付文書として、岩手県教育委員会から文化庁次長宛に被災文化財のレスキューに関する支援要請が提出される。
- 文化庁美術学芸課が陸前高田市立博物館の被災状況を調査(参加団体:文化庁、陸前高田市芸術文化協会、陸前高田市関係者、岩手県教育委員会、岩手県立美術館、岩手県立博物館)
- 5月16日 文化庁美術学芸課は救援委員会事務局に報告
- 5月25日 救援委員会事務局から岩手県教育委員会事務局生涯学習文化課文化財・世界遺産課長へ、陸前高田市立博物館被災絵画のレスキューについては全国美術館会議が協力すると連絡
- 6月13日 独立行政法人国立美術館も協力体制に入る
- 6月13日 陸前高田市立博物館における作品状態調査(参加団体:陸前高田市教育委員会、岩手県教育委員会、岩手県立美術館、独立行政法人国立美術館、全国美術館会議東日本大震災対策本部)
- 6月14日 被災美術作品等の燻蒸・応急修復を行う一時保管場所を検討する会合を開催。複数の候補の中から、盛岡ラボを選定。(会合場所:岩手県立美術館、参加団体:岩手県教育委員会、岩手県立美術館、救援委員会事務局、独立行政法人国立美術館、全国美術館会議東日本大震災対策本部)
- 6月中旬~7月初旬 陸前高田市立博物館から搬出・移送を行うための準備、盛岡ラボの整備
- 7月12日~14日 陸前高田市立博物館にて、作品チェック及び梱包作業。14日に盛岡ラボに搬入
□ 搬出・移送作業スタッフの構成団体
陸前高田市教育委員会 岩手県教育委員会 岩手県立美術館 救援委員会事務局(東京文化財研究所 独立行政法人 国立美術館 (東京国立近代美術館、京都国立近代美術館) 全国美術館会議 (山形美術館、神奈川県立近代美術館、金沢21世紀美術館、愛 知県立美術館、名古屋市美術館、兵庫県立美術館、和歌山県立近代美術館、高知県立美術館) カトーレック株式会社 - 7月15日~8月8日 燻蒸準備
- 8月9日~8月16日 燻蒸
- 8月16日~8月20日 盛岡ラボに係る各種設営作業
- 月21日 応急処置作業開始
- 9月17日 盛岡ラボから岩手県立美術館に、応急処置済みの油彩画20点を搬入。
- 9月25日 応急処置作業終了
- 9月26日~28日 盛岡ラボ撤収準備
- 9月29日 岩手県立美術館に残りの油彩画及び書を搬入。盛岡ラボ撤収。
- 9月30日 岩手県立美術館における保管作業、完了。156件。
□ 応急処置作業スタッフの構成団体
保存修復の専門家 岩手県立美術館 救援委員会事務局(東京文化財研究所) 独立行政法人国立美術館 全国美術館会議
陸前高田市立博物館被災美術作品等救援活動に関わったスタッフの実人数は約140名。現地における作品等の調査、移送、燻蒸、応急処置には延べ約700名が参加しました。県内外での後方支援的な活動を含めるとスタッフの延べ人数は、700名をはるかに上回ります。