第54回情報・資料研究部会会合報告
内 容
第54回部会では、主に、昨年度の事業として3月22日に当部会が担当した全国美術館会議学芸員研修会(第33回)の事業報告に関する今後の流れについて、また研修会でも告知し、本年度より実施する「美術関係アーカイブズ資料所在調査」アンケートについて、具体案をもとに議論をすすめ、進行スケジュール等を決定した。
1. 第33回学芸員研修会報告書の編集・刊行について
まずは、総括として、幹事の川口氏より、回収した参加者アンケートからはこれから実施する
資料所在調査に対し協力的な姿勢が感じられ、関心が向けられたことにより部会の新規参加者が
増えたことも喜ばしい、といったポジティブな評価が述べられた。また、損保ジャパン日本興亜
美術館中島氏からは、研修会に参加したことにより、捨てるかどうかが議論となってきた資料に
整理のための予算をつけることができたという具体的効果も報告された。一方、今後に向けた反
省点として、予想を上回る参加があったために、会場の調整や受付業務など運営館への負担が大
きくなり、当日の混乱ぶりが目についた点などが挙げられ、こういったことの要因に、申込みに
関するルールや事前の情報共有が十分でなかったことなどが指摘された。
また、資料公開についてのガ
イドラインが欲しいという声が
多く寄せられており、内部説明
が容易になるなど、ガイドライ
ンは積極的な資料公開体制に結
びつきやすいと考えられる。部
会として今後どのように対応し
ていくかといった検討事項が残
された。
次に、報告書の発行にあた
り、今後の作業スケジュール等
を確認した。決定事項は下記のとおり。
・体裁(デザイン、印刷[3校まで])は幹事に一任
・発表スライドや画像の掲載については、登壇者の判断に任せる
・6月末まで:登壇者にテープ起こし原稿送付/8月末まで:原稿戻し(入稿用テキスト完
成)/9月中:編集(幹事)/10月初旬:デザイナー入稿・レイアウト/11月:印刷会社
入稿/12月:発行(700冊程度)
2. 「美術関係アーカイブズ資料所在調査」アンケート実施について
今年度より実施するアンケート調査について、部会員の谷口氏の作成案(鑑文、調査票①②)
をもとに、議論を行った。以下に、原案並びに実施方法への主な意見と見直し案、今後の作業ス
ジュール等をまとめる。
(1) 鑑の文言について
依頼に係るアンケート実施の経緯
については、昨年度の学芸員研修会
の内容に触れるなど、もう少し説明
があってもよい。また、専門的な言
い回し、例えば「一次情報を含む美
術関係の個人・団体を出所とした資
料」という表現は、対象となるもの
を具体的に記述するなど、当事者に
それとわかる言葉を使う。回答者が何をしたらよいのかも現状案は複雑に書かれているの
で、フロー化して示すなど、はじめから敬遠されないようにする工夫が欲しい。最終的に本
調査の結果がどのように取扱われるのかについては、回答者が不安を抱く点でもあるため、
「確認を経て」「2020年度以降を目処に所蔵情報を公開」等、明記する。次の部会までに修
正。
(2) 調査票(①機関情報、②資料情報)について
調査票案は、これまでに実施されてきた関連調査(国立公文書館「歴史公文書等の所在把
握及び所在情報の一体的提供を目的とした調査研究に係る中期的な計画」平成27年)の事例
を参考に、機関情報を記述するもの(1館につき1枚)と所蔵資料情報を記述するもの(1件
につき1枚、複数提出可)という形式で考案されたが、これをより簡易なものとして1枚にま
とめる方向性が決まった。
(3) 調査項目について
結果としては得たい情報だが専門
的すぎ、文言を和らげる、選択形式
にするなど、回答しやすくする必要
がある。また、調査対象資料がアー
カイブズであるかどうかは結果を受
けて判断できればよく、対象資料を
出所で分けるという慣れない分類へ
の対応を強制するより、少なくとも
「何がどこに所在」という情報をより多く回収し公表できるような体系を重視するという趣
旨で合意した。加えて、情報公開に対する回答者の懸念を考慮し、情報公開の可否は資料ご
とではなく、機関の姿勢として問うものとする。
上記の議論から、調査票には、機関情報(案の項目1-1~5、情報の公開について2-12~
14)及び所蔵資料名と資料の内容(入手の経緯や量など、2-6, 9~11)を記入するものと
し、資料名と資料の内容は複数記述(と追加)ができるような体裁とする。
(4) 実施方法
アンケートは段階を踏んで実施することとし、アンケート(一次調査)の結果を受けて、
さらに細かなアンケート(二次調査、訪問による聞取り等も含む)を行う。このため、二次
アンケートについても一次の時点で予告する。また、当部会員は例示可能な情報を積極的に
提供する。全国美術館会議会員館への周知には、他の部会幹事にも協力を仰ぐ。
(5) 回答の受付方法(ファックス、メール)について
回答の送付先は全国美術館会議事務局宛とする。案内メールだと読まれないことが多いな
ど、これまでの経験を踏まえ、アンケート回答依頼は原則郵送(とくに、研修会参加者には
別途メールするなど、直接届く方法を検討)する。回答率アップに向け、回収手段について
は、紙媒体、回答用ドキュメントフォーム(ワードやエクセルなど)のダウンロードに加
え、日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアムのアンケートなども参考に、ウェブフォーム
の利用についても今後検討する。
(6) 今年度の作業スケジュール
10~11月 発送(一次調査)
12月 締切
1月 結果整理
2月 アンケート結果の考察(二次調査について検討)
3. 今後の企画準備に関する協議並びに情報交換
幹事の鴨木氏から、関連情報として、INJA国際日本美術ネットワーク会員募集並びに説明会
「ジャパンサーチ発進!~連携拡大に向けて」(日時:2019年7月17日 於:国立国会図書館東
京本館新館講堂/関西館第一研修室 要申込)開催について等の連絡があった。幹事の川口氏か
らは国際シンポジウム「カタログ・レゾネ デジタル時代のアーカイヴとドキュメンテーショ
ン」(日時:2019年7月10日 於:国立西洋美術館 要申込)開催のお知らせがあり、ウィルデ
ンスタイン・プラットナー研究所、デュラン=リュエル画廊といった海外事例について聞くこと
のできる貴重な機会であるとの由。
1. 第33回学芸員研修会報告書の編集・刊行について
まずは、総括として、幹事の川口氏より、回収した参加者アンケートからはこれから実施する
資料所在調査に対し協力的な姿勢が感じられ、関心が向けられたことにより部会の新規参加者が
増えたことも喜ばしい、といったポジティブな評価が述べられた。また、損保ジャパン日本興亜
美術館中島氏からは、研修会に参加したことにより、捨てるかどうかが議論となってきた資料に
整理のための予算をつけることができたという具体的効果も報告された。一方、今後に向けた反
省点として、予想を上回る参加があったために、会場の調整や受付業務など運営館への負担が大
きくなり、当日の混乱ぶりが目についた点などが挙げられ、こういったことの要因に、申込みに
関するルールや事前の情報共有が十分でなかったことなどが指摘された。
また、資料公開についてのガ
イドラインが欲しいという声が
多く寄せられており、内部説明
が容易になるなど、ガイドライ
ンは積極的な資料公開体制に結
びつきやすいと考えられる。部
会として今後どのように対応し
ていくかといった検討事項が残
された。
次に、報告書の発行にあた
り、今後の作業スケジュール等
を確認した。決定事項は下記のとおり。
・体裁(デザイン、印刷[3校まで])は幹事に一任
・発表スライドや画像の掲載については、登壇者の判断に任せる
・6月末まで:登壇者にテープ起こし原稿送付/8月末まで:原稿戻し(入稿用テキスト完
成)/9月中:編集(幹事)/10月初旬:デザイナー入稿・レイアウト/11月:印刷会社
入稿/12月:発行(700冊程度)
2. 「美術関係アーカイブズ資料所在調査」アンケート実施について
今年度より実施するアンケート調査について、部会員の谷口氏の作成案(鑑文、調査票①②)
をもとに、議論を行った。以下に、原案並びに実施方法への主な意見と見直し案、今後の作業ス
ジュール等をまとめる。
(1) 鑑の文言について
依頼に係るアンケート実施の経緯
については、昨年度の学芸員研修会
の内容に触れるなど、もう少し説明
があってもよい。また、専門的な言
い回し、例えば「一次情報を含む美
術関係の個人・団体を出所とした資
料」という表現は、対象となるもの
を具体的に記述するなど、当事者に
それとわかる言葉を使う。回答者が何をしたらよいのかも現状案は複雑に書かれているの
で、フロー化して示すなど、はじめから敬遠されないようにする工夫が欲しい。最終的に本
調査の結果がどのように取扱われるのかについては、回答者が不安を抱く点でもあるため、
「確認を経て」「2020年度以降を目処に所蔵情報を公開」等、明記する。次の部会までに修
正。
(2) 調査票(①機関情報、②資料情報)について
調査票案は、これまでに実施されてきた関連調査(国立公文書館「歴史公文書等の所在把
握及び所在情報の一体的提供を目的とした調査研究に係る中期的な計画」平成27年)の事例
を参考に、機関情報を記述するもの(1館につき1枚)と所蔵資料情報を記述するもの(1件
につき1枚、複数提出可)という形式で考案されたが、これをより簡易なものとして1枚にま
とめる方向性が決まった。
(3) 調査項目について
結果としては得たい情報だが専門
的すぎ、文言を和らげる、選択形式
にするなど、回答しやすくする必要
がある。また、調査対象資料がアー
カイブズであるかどうかは結果を受
けて判断できればよく、対象資料を
出所で分けるという慣れない分類へ
の対応を強制するより、少なくとも
「何がどこに所在」という情報をより多く回収し公表できるような体系を重視するという趣
旨で合意した。加えて、情報公開に対する回答者の懸念を考慮し、情報公開の可否は資料ご
とではなく、機関の姿勢として問うものとする。
上記の議論から、調査票には、機関情報(案の項目1-1~5、情報の公開について2-12~
14)及び所蔵資料名と資料の内容(入手の経緯や量など、2-6, 9~11)を記入するものと
し、資料名と資料の内容は複数記述(と追加)ができるような体裁とする。
(4) 実施方法
アンケートは段階を踏んで実施することとし、アンケート(一次調査)の結果を受けて、
さらに細かなアンケート(二次調査、訪問による聞取り等も含む)を行う。このため、二次
アンケートについても一次の時点で予告する。また、当部会員は例示可能な情報を積極的に
提供する。全国美術館会議会員館への周知には、他の部会幹事にも協力を仰ぐ。
(5) 回答の受付方法(ファックス、メール)について
回答の送付先は全国美術館会議事務局宛とする。案内メールだと読まれないことが多いな
ど、これまでの経験を踏まえ、アンケート回答依頼は原則郵送(とくに、研修会参加者には
別途メールするなど、直接届く方法を検討)する。回答率アップに向け、回収手段について
は、紙媒体、回答用ドキュメントフォーム(ワードやエクセルなど)のダウンロードに加
え、日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアムのアンケートなども参考に、ウェブフォーム
の利用についても今後検討する。
(6) 今年度の作業スケジュール
10~11月 発送(一次調査)
12月 締切
1月 結果整理
2月 アンケート結果の考察(二次調査について検討)
3. 今後の企画準備に関する協議並びに情報交換
幹事の鴨木氏から、関連情報として、INJA国際日本美術ネットワーク会員募集並びに説明会
「ジャパンサーチ発進!~連携拡大に向けて」(日時:2019年7月17日 於:国立国会図書館東
京本館新館講堂/関西館第一研修室 要申込)開催について等の連絡があった。幹事の川口氏か
らは国際シンポジウム「カタログ・レゾネ デジタル時代のアーカイヴとドキュメンテーショ
ン」(日時:2019年7月10日 於:国立西洋美術館 要申込)開催のお知らせがあり、ウィルデ
ンスタイン・プラットナー研究所、デュラン=リュエル画廊といった海外事例について聞くこと
のできる貴重な機会であるとの由。
(報告者:大阪中之島美術館準備室 松山ひとみ)
参加者:15名
越智裕二郎(西宮市大谷記念美術館)部会長
鴨木年泰(東京富士美術館)幹事
川口雅子(国立西洋美術館)幹事
土生和彦(宮城県美術館)
八柳サエ(横浜美術館)
谷口英理(国立新美術館)
中平洋子(ちひろ美術館・東京)
長名大地(東京国立近代美術館)
中島啓子(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)
矢口琴衣(長野県信濃美術館 東山魁夷館)
松山ひとみ(大阪中之島美術館準備室)
朝倉芽生(高知県立美術館)
オブザーバー
住広昭子
大越久子(全国美術館会議事務局・埼玉県立近代美術館)
小林豊子(全国美術館会議事務局)
鴨木年泰(東京富士美術館)幹事
川口雅子(国立西洋美術館)幹事
土生和彦(宮城県美術館)
八柳サエ(横浜美術館)
谷口英理(国立新美術館)
中平洋子(ちひろ美術館・東京)
長名大地(東京国立近代美術館)
中島啓子(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)
矢口琴衣(長野県信濃美術館 東山魁夷館)
松山ひとみ(大阪中之島美術館準備室)
朝倉芽生(高知県立美術館)
オブザーバー
住広昭子
大越久子(全国美術館会議事務局・埼玉県立近代美術館)
小林豊子(全国美術館会議事務局)