第51回情報・資料研究部会会合報告
内 容
1. 「美術関係アーカイブズ資料所在調査(仮称)」について
(1) 前回の部会で、「アーカイブズ資料所在調査」に関するサンプルデータを各部会員が作成
し、データを持ち寄って問題点を共有することになっていた。サンプルデータの作成に当た
っては、部会員の谷口英理氏が「アーカイブズ記述に関する一般的国際標準」(ISAD(G))
に基づいて作成したフォーマットが用いられた。
(2) 部会では、各部会員からサンプルデータが
持ち寄られ、各館が抱えるアーカイブズの内
容紹介と、実作業を通しての感想や情報公開
に関する問題点について報告がなされた。持
ち寄られたサンプルデータ数は24事例となっ
た(長名:6事例、八柳:1事例、住広:2事
例、鴨木:5事例、川口:1事例、松山:2事
例、土生:1事例、谷口:6事例 ※敬称略、
発表順)。
いくつかのサンプルデータは、現段階では
一般公開に差し支えのある内容も含んでいた
ため、本報告では個別の事例に関する詳細には触れず、共通する問題点のみの報告となるこ
とをあらかじめお断りしておく。また、配布資料は部会内のみで扱い、情報公開に関する体
制が構築できるまでは、外部に開示しない。
(3) こうしたアーカイブズの情報を開示しづらい状況は、部会内にとどまらず、全国の美術館
で起こりうるだろうことが共有された。そのため、今後「アーカイブズ資料所在調査」を実
施し、アンケートによる情報提供を求めていく際は、提供可能な範囲の情報だけで、各館の
事情に応じた対応でかまわないことになった。併せて、部会として情報公開に関するポリシ
ーも検討していくことになった。
(4) 本稿執筆者からは、情報公開と入力作業に
関する懸案事項について報告を行った。特に
情報公開にあたって、館の了承を得るプロセ
スが必要となることや、既にアーカイブズと
称して文庫の公開をしていることから文庫も
アーカイブズに含めて欲しいこと、館内の学
芸員に情報提供を求める上で啓蒙活動用のリ
ーフレットのようなものが必要であること、
情報公開後のデータの取り扱いに関してのガ
イドライン等を設ける必要があるなどの意見
を述べた。また、入力作業に関しても、原則として自由記述だが、ある程度の凡例を設ける
ことや、個人名を冠した収集アーカイブズの場合で作成者の経歴情報については、館で用い
ているテキストや、事典類からの転載も認めるなど、ある程度記述に関する整備も必要では
ないかと提案した。これらについては、部会で引き続き協議していくことになった。
(5) フォーマットの項目に関しても提案があった。部会員の松山ひとみ氏からは「資料入手
先」は「資料入手元」の方が望ましいのではないかという意見があった。谷口氏からは「資
料名」に所蔵館名を併記する変更の提案がなされ、最終的には「資料名」の近くに所蔵館名
の項目を立てることで合意した。
(6) 持ち寄られたサンプルデータには、収集アーカイブズだけでなく、機関アーカイブズも含
まれていた。機関アーカイブズに関しては、美術館の体制として総務系の管轄になっている
ケースが多いことや、機関アーカイブズの構築という運営体制に話が終始してしまう恐れが
あり、埋もれている資料の開示という本来の目的が達成しづらくなるのではないかという議
論が交わされた。部会員からは、特定の美術館の研究をしたいと考える研究者は、機関アー
カイブズの有無に限らず、その美術館に情報提供を求めるのではないか、そうした意味では
美術館と資料が必ずしも結びつかない収集アーカイブズの開示に力を入れたほうがよいので
はという意見があり、今後アーカイブズへの理解を広げていく上で、現段階では収集アーカ
イブズの情報収集を主体としていく方向性が共有された。
今後、「美術関係アーカイブズ資料所在調査」に関しては、引き続き各館でサンプルデータ
の作成をしていくことになった。
2. 平成30年度学芸員研修会の企画担当について
情報・資料研究部会が本年度担当する学芸員研修会について、次回以降の部会で内容を検討
することになった。2018年9月12日(水)、11月、2019年1月に部会を開催し、内容を詰めてい
くことになった。学芸員研修会の時期は2019年3月中で東京国立近代美術館が望ましいという
意見があがり、本稿執筆者から館内に調整を図ることになった。
3. 今後の企画準備に関する協議並びに情報交換
幹事の鴨木年泰氏から、2018年度アート・ドキュメンテーション学会の第11回秋季研究集会
(日時:2018年10月13日10:00~17:00 於:お茶の水大学)において、当部会の「アーカ
イブズ資料所在調査」の取り組みに関する進捗状況について報告したいとの意向が示され、了承
された。
幹事の川口雅子氏からは講演会に関する報告があった。1点目は、第20回図書館総合展(日時
:2018年10月30日~11月1日 於:パシフィコ横浜)で「Art Museum Annuale 2018」が併
催されるに伴い、アートライブラリに関するフォーラムが組まれることになったとのこと。フォ
ーラム開催日は10月31日午前を予定。2点目は、上野で開催される第65回全国博物館大会(日
時:2018年11月29日~12月1日)において、西洋美術館が分科会を持つことになり、「世界と
つながるコレクション情報」というテーマで行われることになったとのこと。
部会員の松山氏より、2019年2月に神戸映画資料館で、アーカイブ・ワークショップを実施予
定との報告があった。今年度は視聴覚メディア、来年度はオーラルヒストリーを取り上げる予定
とのこと。
(1) 前回の部会で、「アーカイブズ資料所在調査」に関するサンプルデータを各部会員が作成
し、データを持ち寄って問題点を共有することになっていた。サンプルデータの作成に当た
っては、部会員の谷口英理氏が「アーカイブズ記述に関する一般的国際標準」(ISAD(G))
に基づいて作成したフォーマットが用いられた。
(2) 部会では、各部会員からサンプルデータが
持ち寄られ、各館が抱えるアーカイブズの内
容紹介と、実作業を通しての感想や情報公開
に関する問題点について報告がなされた。持
ち寄られたサンプルデータ数は24事例となっ
た(長名:6事例、八柳:1事例、住広:2事
例、鴨木:5事例、川口:1事例、松山:2事
例、土生:1事例、谷口:6事例 ※敬称略、
発表順)。
いくつかのサンプルデータは、現段階では
一般公開に差し支えのある内容も含んでいた
ため、本報告では個別の事例に関する詳細には触れず、共通する問題点のみの報告となるこ
とをあらかじめお断りしておく。また、配布資料は部会内のみで扱い、情報公開に関する体
制が構築できるまでは、外部に開示しない。
(3) こうしたアーカイブズの情報を開示しづらい状況は、部会内にとどまらず、全国の美術館
で起こりうるだろうことが共有された。そのため、今後「アーカイブズ資料所在調査」を実
施し、アンケートによる情報提供を求めていく際は、提供可能な範囲の情報だけで、各館の
事情に応じた対応でかまわないことになった。併せて、部会として情報公開に関するポリシ
ーも検討していくことになった。
(4) 本稿執筆者からは、情報公開と入力作業に
関する懸案事項について報告を行った。特に
情報公開にあたって、館の了承を得るプロセ
スが必要となることや、既にアーカイブズと
称して文庫の公開をしていることから文庫も
アーカイブズに含めて欲しいこと、館内の学
芸員に情報提供を求める上で啓蒙活動用のリ
ーフレットのようなものが必要であること、
情報公開後のデータの取り扱いに関してのガ
イドライン等を設ける必要があるなどの意見
を述べた。また、入力作業に関しても、原則として自由記述だが、ある程度の凡例を設ける
ことや、個人名を冠した収集アーカイブズの場合で作成者の経歴情報については、館で用い
ているテキストや、事典類からの転載も認めるなど、ある程度記述に関する整備も必要では
ないかと提案した。これらについては、部会で引き続き協議していくことになった。
(5) フォーマットの項目に関しても提案があった。部会員の松山ひとみ氏からは「資料入手
先」は「資料入手元」の方が望ましいのではないかという意見があった。谷口氏からは「資
料名」に所蔵館名を併記する変更の提案がなされ、最終的には「資料名」の近くに所蔵館名
の項目を立てることで合意した。
(6) 持ち寄られたサンプルデータには、収集アーカイブズだけでなく、機関アーカイブズも含
まれていた。機関アーカイブズに関しては、美術館の体制として総務系の管轄になっている
ケースが多いことや、機関アーカイブズの構築という運営体制に話が終始してしまう恐れが
あり、埋もれている資料の開示という本来の目的が達成しづらくなるのではないかという議
論が交わされた。部会員からは、特定の美術館の研究をしたいと考える研究者は、機関アー
カイブズの有無に限らず、その美術館に情報提供を求めるのではないか、そうした意味では
美術館と資料が必ずしも結びつかない収集アーカイブズの開示に力を入れたほうがよいので
はという意見があり、今後アーカイブズへの理解を広げていく上で、現段階では収集アーカ
イブズの情報収集を主体としていく方向性が共有された。
今後、「美術関係アーカイブズ資料所在調査」に関しては、引き続き各館でサンプルデータ
の作成をしていくことになった。
2. 平成30年度学芸員研修会の企画担当について
情報・資料研究部会が本年度担当する学芸員研修会について、次回以降の部会で内容を検討
することになった。2018年9月12日(水)、11月、2019年1月に部会を開催し、内容を詰めてい
くことになった。学芸員研修会の時期は2019年3月中で東京国立近代美術館が望ましいという
意見があがり、本稿執筆者から館内に調整を図ることになった。
3. 今後の企画準備に関する協議並びに情報交換
幹事の鴨木年泰氏から、2018年度アート・ドキュメンテーション学会の第11回秋季研究集会
(日時:2018年10月13日10:00~17:00 於:お茶の水大学)において、当部会の「アーカ
イブズ資料所在調査」の取り組みに関する進捗状況について報告したいとの意向が示され、了承
された。
幹事の川口雅子氏からは講演会に関する報告があった。1点目は、第20回図書館総合展(日時
:2018年10月30日~11月1日 於:パシフィコ横浜)で「Art Museum Annuale 2018」が併
催されるに伴い、アートライブラリに関するフォーラムが組まれることになったとのこと。フォ
ーラム開催日は10月31日午前を予定。2点目は、上野で開催される第65回全国博物館大会(日
時:2018年11月29日~12月1日)において、西洋美術館が分科会を持つことになり、「世界と
つながるコレクション情報」というテーマで行われることになったとのこと。
部会員の松山氏より、2019年2月に神戸映画資料館で、アーカイブ・ワークショップを実施予
定との報告があった。今年度は視聴覚メディア、来年度はオーラルヒストリーを取り上げる予定
とのこと。
(報告者:東京国立近代美術館企画課情報資料室 長名大地)
参加者:12名
越智裕二郎(西宮市大谷記念美術館)部会長
鴨木年泰(東京富士美術館)幹事
川口雅子(国立西洋美術館)幹事
土生和彦(宮城県美術館)
八柳サエ(横浜美術館)
谷口英理(国立新美術館)
長名大地(東京国立近代美術館)
住広昭子(東京国立博物館)
松山ひとみ(大阪新美術館建設準備室)
オブザーバー
渡邉美喜(神奈川県立近代美術館)
原 舞子(三重県立美術館)
小林豊子(全国美術館会議 事務局)
鴨木年泰(東京富士美術館)幹事
川口雅子(国立西洋美術館)幹事
土生和彦(宮城県美術館)
八柳サエ(横浜美術館)
谷口英理(国立新美術館)
長名大地(東京国立近代美術館)
住広昭子(東京国立博物館)
松山ひとみ(大阪新美術館建設準備室)
オブザーバー
渡邉美喜(神奈川県立近代美術館)
原 舞子(三重県立美術館)
小林豊子(全国美術館会議 事務局)