第48回情報・資料研究部会会合報告
内 容
第48回部会会合は、国立西洋美術館B1研究資料センター閲覧室を会場に開催され、オブザーバ
ーを含む13名が参加した。本会合では、当部会に協力要請のあった「バイリンガル日本美術ウェ
ブサイト(案)」と「アーカイブの所在調査に関する共同作業の提案」について前回に引き続き討
議した後、国立国会図書館が中心となって構築を進める「ジャパンサーチ(仮称)」構想について
同図書館の徳原直子氏と中川紗央里氏から説明があった。
1. 「バイリンガル日本美術ウェブサイト(案)」
について
前回の会合でも議題にあがった、カルコン日
米美術対話委員会(CULCON-Arts Dialogue
Committee)による「バイリンガル日本美術ウ
ェブサイト(案)」への協力要請について、部
会として協力すること、そして今後、ウェブサ
イトの担当者である栗原祐司氏(京都国立博物
館副館長)に越智部会長が連絡を取り、連携や
情報収集を進めるようにすることとした。
2. 「アーカイブの所在調査に関する共同作業の提案」について
山梨俊夫氏(国立国際美術館館長、全美副会長、国立美術館データベース・ワーキング座長)
より当部会に協力打診があった「アーカイブの所在調査に関する共同作業の提案」(以下、提案
書)について、前回の会合では、所蔵アーカイブ資料に関するアンケートを今年度内に全美会員
館に対して実施するという案が浮上した。だがそれに対して、アーカイブの定義を巡って各館に
認識差があるのではないかという指摘がなされ、その日の議論は終結した。
本会合で引き続きこの件について討議し、越
智部会長から現状として、国立美術館の動きと
は別個に当部会自体の研究課題としてアーカイ
ブをめぐる諸課題を議論することが再確認され
その方向で議論が行われた。
国内の他の分野(建築や映像など)に比べ、
美術の分野はアーカイブ整備が遅れている。国
内の美術館の多くは、作品以外の収蔵資料とし
て、作家(館によっては画廊や評論家なども)
にまつわる資料を多々保管しているが、整理の
手が行き届かず箱に入ったままであったり、資
料の所有権があいまいであったりという理由から、公表を躊躇する館が少なくない。アーカイ
ブ整備の対象となるべきものが、館によっては資料ではなく作品として登録されるなど、アー
カイブについての取り扱いもまちまちである。こうした現状ゆえに、国内各地の美術館に対し
てはまず、箱のままの未整理の資料でもできるだけ顕在化させ、広く浅い情報(手紙の一枚一
枚ではなく、資料の塊としての記述)を集約させることの重要性を説く必要がある。そして、
国内外の先進事例(フリック・コレクション、ゲッティー財団、テート、国立国会図書館の憲
政資料室等)やアーカイブズ学の成果に学びながら、アーカイブ整備のガイドラインやモデル
ケースを各館に示すことが、アンケートに先だ
って必要であるとの意見が出された。各館で作
品と資料の線引きはバラバラであるが、それに
対して当部会としての基準を示しつつ、作家単
位ではなく、出所がベースのアーカイブ情報収
集を実施すべきとの見解も、本会合で共有され
た。
この討議を踏まえて、今後すべきことのアジ
ェンダ一覧とアウトプットのたたき台(fond記
述のモデル)を次回の会合までに作成すること
となった。今後は、既に公開されているアーカ
イブの情報を部会員の所属館を中心に収集し、それに基づきアーカイブ所在調査にかかる作業ボ
リュームの試算を行い、その上で啓蒙のためのシンポジウムやアンケートを行う見通しである。
ーを含む13名が参加した。本会合では、当部会に協力要請のあった「バイリンガル日本美術ウェ
ブサイト(案)」と「アーカイブの所在調査に関する共同作業の提案」について前回に引き続き討
議した後、国立国会図書館が中心となって構築を進める「ジャパンサーチ(仮称)」構想について
同図書館の徳原直子氏と中川紗央里氏から説明があった。
1. 「バイリンガル日本美術ウェブサイト(案)」
について
前回の会合でも議題にあがった、カルコン日
米美術対話委員会(CULCON-Arts Dialogue
Committee)による「バイリンガル日本美術ウ
ェブサイト(案)」への協力要請について、部
会として協力すること、そして今後、ウェブサ
イトの担当者である栗原祐司氏(京都国立博物
館副館長)に越智部会長が連絡を取り、連携や
情報収集を進めるようにすることとした。
2. 「アーカイブの所在調査に関する共同作業の提案」について
山梨俊夫氏(国立国際美術館館長、全美副会長、国立美術館データベース・ワーキング座長)
より当部会に協力打診があった「アーカイブの所在調査に関する共同作業の提案」(以下、提案
書)について、前回の会合では、所蔵アーカイブ資料に関するアンケートを今年度内に全美会員
館に対して実施するという案が浮上した。だがそれに対して、アーカイブの定義を巡って各館に
認識差があるのではないかという指摘がなされ、その日の議論は終結した。
本会合で引き続きこの件について討議し、越
智部会長から現状として、国立美術館の動きと
は別個に当部会自体の研究課題としてアーカイ
ブをめぐる諸課題を議論することが再確認され
その方向で議論が行われた。
国内の他の分野(建築や映像など)に比べ、
美術の分野はアーカイブ整備が遅れている。国
内の美術館の多くは、作品以外の収蔵資料とし
て、作家(館によっては画廊や評論家なども)
にまつわる資料を多々保管しているが、整理の
手が行き届かず箱に入ったままであったり、資
料の所有権があいまいであったりという理由から、公表を躊躇する館が少なくない。アーカイ
ブ整備の対象となるべきものが、館によっては資料ではなく作品として登録されるなど、アー
カイブについての取り扱いもまちまちである。こうした現状ゆえに、国内各地の美術館に対し
てはまず、箱のままの未整理の資料でもできるだけ顕在化させ、広く浅い情報(手紙の一枚一
枚ではなく、資料の塊としての記述)を集約させることの重要性を説く必要がある。そして、
国内外の先進事例(フリック・コレクション、ゲッティー財団、テート、国立国会図書館の憲
政資料室等)やアーカイブズ学の成果に学びながら、アーカイブ整備のガイドラインやモデル
ケースを各館に示すことが、アンケートに先だ
って必要であるとの意見が出された。各館で作
品と資料の線引きはバラバラであるが、それに
対して当部会としての基準を示しつつ、作家単
位ではなく、出所がベースのアーカイブ情報収
集を実施すべきとの見解も、本会合で共有され
た。
この討議を踏まえて、今後すべきことのアジ
ェンダ一覧とアウトプットのたたき台(fond記
述のモデル)を次回の会合までに作成すること
となった。今後は、既に公開されているアーカ
イブの情報を部会員の所属館を中心に収集し、それに基づきアーカイブ所在調査にかかる作業ボ
リュームの試算を行い、その上で啓蒙のためのシンポジウムやアンケートを行う見通しである。
3. 「ジャパンサーチ(仮称)」構想について
「ジャパンサーチ(仮称)」は、国立国会図書館が構築を進める、国による分野横断統合ポー
タルサイトであり、日本国内にある各種コンテンツの「所在情報の共有」を最たる目標とする。
狭義のアーカイブ資料のみならず各館が持つ作品・資料全て(デジタルデータだけではなく資料
現物自体も含む)のメタデータが対象となる。
ジャパンサーチ(仮称)構想については、当
部会では、昨年6月24日の研究集会で初めて言
及がなされた。本会合ではこの構想について、
その後の進展や経緯、そして実際の内容につい
て情報共有をはかるべく、同図書館の徳原直子
氏と中川紗央里氏をスピーカーに迎え、プロト
タイプ・イメージのデモンストレーションを交
えての説明を受けた。
*国におけるデジタルアーカイブ推進の動き
○政府の「知的財産推進計画2016」で示さ
れた、国立国会図書館サーチと文化遺産オンラインの連携については、2017年3月に一部
実現した。
○「知的財産推進計画2017」に、国立国会図書館が中心となって2020年までに国の分野横
断統合ポータルとして「ジャパンサーチ(仮称)」の構築を目指すことが明記されている。
○2017年4月、内閣府が事務局を務める「デジタルアーカイブの連携に関する関係省庁等連
絡会・実務者協議会」が取りまとめた報告書「我が国におけるデジタルアーカイブ推進の
方向性 」及び「デジタルアーカイブの構築・共有・活用ガイドライン 」が公表された。
ガイドラインによると、国内のアーカイブ機関(コンテンツを保有する機関を指し、美術
館、博物館も含まれる)は、デジタル化の
推進、メタデータの整備・公開が求められ
ており、各分野や地域コミュニティーの
「つなぎ役(Europeanaのアグリゲーター
に相当)」を介してそのメタデータがジャ
パンサーチ(仮称)に集約される。
○2017年9、10月には、関連省庁連絡会・実
務者協議会の後継の「デジタルアーカイブ
ジャパン推進委員会・実務者検討委員会」
が開催され、そこで「ジャパンサーチ(仮
称)」構想の実現に向けた検討が進められ
る。
*国立国会図書館における「ジャパンサーチ(仮称)構築」に向けた動き
○2012年から稼働中の「国立国会図書館サーチ」は、同図書館及び他機関が保有する様々な
形態の情報資源のメタデータを横断的に検索できるもので、「e-国宝」「国立美術館所蔵
作品総合目録検索システム」「文化遺産オンライン」(国指定文化財等データベースのみ)
等とも連携している。
○ジャパンサーチ(仮称)は、この国立国会
図書館サーチとは別個に構築される。国立国会図書館サーチは書籍を中心とした機能であ
り、「OAI-PMH」等のAPI連携が優先されており、また、国立国会図書館のメタデータフ
ォーマット(DC-NDL)に他機関のデータを合わせる仕様である。これに対し、ジャパン
サーチ(仮称)は図書以外のコンテンツも扱いやすいよう、表形式のテキストデータをウ
ェブ上の安定した場所に置いておくだけでも共有でき、かつ、分野横断可能な柔軟な標準
メタデータフォーマットを検討する予定である。
○ジャパンサーチ(仮称)は現在プロトタイプ構築に向けて、必要な機能について検討して
いるところである。
*ジャパンサーチ(仮称)「プロトタイプ」機能コンセプト案
○ジャパンサーチ(仮称)は、「コンテンツの所在等の明確化」「データ提供機関へのアク
セス促進」「データの利活用の促進」「データ提供機関への支援」「新規ビジネス・サー
ビスの創出等」という5つの使命があり、「国の分野横断統合ポータルサイト」「利活用
のユースケース」「利活用促進の基盤」という3つの顔を持つ。
○第1の顔「国の分野横断統合ポータルサイト」としては、分野横断的に広く検索するため
の「横断検索」と、特定の分野に特化した検索ができる「カスタム検索」という、2種類
の検索機能を備える。カスタム検索では、ユーザーが自由に検索対象と検索項目を選択し
てマッピングを行い、個別のメタデータのオリジナルな項目に対して検索が可能となる。
定義した検索式は名前を付けて共有可能にする。
○第2の顔「利活用のユースケース」としては、研究者や専門家以外にも利用者層を広げる
ために、特定のテーマに基づいてテキスト、画像や検索結果を自由に組み合わせて公開で
きる「キュレーションページ」や「電子展示会」の機能を用意する。これらによって作成
し公開されたページを閲覧するだけでもジャパンサーチ(仮称)の種々のデータを楽しめ
るようにする。
○第3の顔「利活用促進の基盤」としては、メタデータのAPI提供機能のほかに、検索機能や
電子展示会のページを外部サイトに埋め込むことができる部品機能を用意し、データ提供
機関のホームページでもジャパンサーチ(仮称)のコンテンツを利用できるようにする想
定である。
*意見交換
部会員からは様々な感想や意見が寄せられた。検索機能に対しては、「絞込みのためのファ
セットをより充実させるなど、検索結果が多数出てきた場合の表示方法にもっと工夫が必要」
「資料の出所表記には、つなぎ役の名称だけでなく、本来のデータ提供元の所蔵館の表記も必
要」「むしろつなぎ役の表記があれば十分。本来のデータ提供元の表記は不要では?」などの
意見が寄せられ、カスタム検索(カスマイズ可能な検索式)の公開については、「公開範囲や
自分のブラウザー上での表示状態をコントロールできる機能がほしい」との声があがった。
ジャパンサーチ(仮称)全般に対しては、「一般向けのキュレーションサイトも重要だが、
まず研究活動に役立つよう、検索機能の充実や利便性の向上に努めるべき。検索機能が乏しけ
れば、ユーザーは素材を提供しようとする気にはならないのでは」「収録データを沢山集めな
ければ、サーチの価値向上は望めないのでは」といった意見があがり、「そもそもジャパンサ
ーチ(仮称)の目指すものは何?」といった根本的な疑問も聞かれた。
ジャパンサーチ(仮称)の担当者は、美術に関しては専門外であり、意見交換では、美術館
界特有の事情の説明にも時間が費やされた。作品のデータは研究の進展によってたびたび変更
されうるという理由で、また画像の扱いに慎重であることから、日本の美術館は所蔵品のメタ
データを出したがらない傾向にある。「表形式のデータをウェブ上の安定した場所に置く」と
いう作業ですら、永続的に行うにはマンパワー不足で困難である。こうした問題に対しては、
全美も文化遺産オンラインと並ぶ「つなぎ役」の一つとなればいいのではという意見があがっ
た。
ジャパンサーチ(仮称)をめぐり、部会員の間からは実に様々な意見が出されたが、とりわ
け重要な要望は、一般ユーザーを増やすことと、専門家に対しての信頼性の担保をうまく両立
させてほしいということである。今後も引き続き、国立国会図書館と当部会との意見交換を続
けていく。
「ジャパンサーチ(仮称)」は、国立国会図書館が構築を進める、国による分野横断統合ポー
タルサイトであり、日本国内にある各種コンテンツの「所在情報の共有」を最たる目標とする。
狭義のアーカイブ資料のみならず各館が持つ作品・資料全て(デジタルデータだけではなく資料
現物自体も含む)のメタデータが対象となる。
ジャパンサーチ(仮称)構想については、当
部会では、昨年6月24日の研究集会で初めて言
及がなされた。本会合ではこの構想について、
その後の進展や経緯、そして実際の内容につい
て情報共有をはかるべく、同図書館の徳原直子
氏と中川紗央里氏をスピーカーに迎え、プロト
タイプ・イメージのデモンストレーションを交
えての説明を受けた。
*国におけるデジタルアーカイブ推進の動き
○政府の「知的財産推進計画2016」で示さ
れた、国立国会図書館サーチと文化遺産オンラインの連携については、2017年3月に一部
実現した。
○「知的財産推進計画2017」に、国立国会図書館が中心となって2020年までに国の分野横
断統合ポータルとして「ジャパンサーチ(仮称)」の構築を目指すことが明記されている。
○2017年4月、内閣府が事務局を務める「デジタルアーカイブの連携に関する関係省庁等連
絡会・実務者協議会」が取りまとめた報告書「我が国におけるデジタルアーカイブ推進の
方向性 」及び「デジタルアーカイブの構築・共有・活用ガイドライン 」が公表された。
ガイドラインによると、国内のアーカイブ機関(コンテンツを保有する機関を指し、美術
館、博物館も含まれる)は、デジタル化の
推進、メタデータの整備・公開が求められ
ており、各分野や地域コミュニティーの
「つなぎ役(Europeanaのアグリゲーター
に相当)」を介してそのメタデータがジャ
パンサーチ(仮称)に集約される。
○2017年9、10月には、関連省庁連絡会・実
務者協議会の後継の「デジタルアーカイブ
ジャパン推進委員会・実務者検討委員会」
が開催され、そこで「ジャパンサーチ(仮
称)」構想の実現に向けた検討が進められ
る。
*国立国会図書館における「ジャパンサーチ(仮称)構築」に向けた動き
○2012年から稼働中の「国立国会図書館サーチ」は、同図書館及び他機関が保有する様々な
形態の情報資源のメタデータを横断的に検索できるもので、「e-国宝」「国立美術館所蔵
作品総合目録検索システム」「文化遺産オンライン」(国指定文化財等データベースのみ)
等とも連携している。
○ジャパンサーチ(仮称)は、この国立国会
図書館サーチとは別個に構築される。国立国会図書館サーチは書籍を中心とした機能であ
り、「OAI-PMH」等のAPI連携が優先されており、また、国立国会図書館のメタデータフ
ォーマット(DC-NDL)に他機関のデータを合わせる仕様である。これに対し、ジャパン
サーチ(仮称)は図書以外のコンテンツも扱いやすいよう、表形式のテキストデータをウ
ェブ上の安定した場所に置いておくだけでも共有でき、かつ、分野横断可能な柔軟な標準
メタデータフォーマットを検討する予定である。
○ジャパンサーチ(仮称)は現在プロトタイプ構築に向けて、必要な機能について検討して
いるところである。
*ジャパンサーチ(仮称)「プロトタイプ」機能コンセプト案
○ジャパンサーチ(仮称)は、「コンテンツの所在等の明確化」「データ提供機関へのアク
セス促進」「データの利活用の促進」「データ提供機関への支援」「新規ビジネス・サー
ビスの創出等」という5つの使命があり、「国の分野横断統合ポータルサイト」「利活用
のユースケース」「利活用促進の基盤」という3つの顔を持つ。
○第1の顔「国の分野横断統合ポータルサイト」としては、分野横断的に広く検索するため
の「横断検索」と、特定の分野に特化した検索ができる「カスタム検索」という、2種類
の検索機能を備える。カスタム検索では、ユーザーが自由に検索対象と検索項目を選択し
てマッピングを行い、個別のメタデータのオリジナルな項目に対して検索が可能となる。
定義した検索式は名前を付けて共有可能にする。
○第2の顔「利活用のユースケース」としては、研究者や専門家以外にも利用者層を広げる
ために、特定のテーマに基づいてテキスト、画像や検索結果を自由に組み合わせて公開で
きる「キュレーションページ」や「電子展示会」の機能を用意する。これらによって作成
し公開されたページを閲覧するだけでもジャパンサーチ(仮称)の種々のデータを楽しめ
るようにする。
○第3の顔「利活用促進の基盤」としては、メタデータのAPI提供機能のほかに、検索機能や
電子展示会のページを外部サイトに埋め込むことができる部品機能を用意し、データ提供
機関のホームページでもジャパンサーチ(仮称)のコンテンツを利用できるようにする想
定である。
*意見交換
部会員からは様々な感想や意見が寄せられた。検索機能に対しては、「絞込みのためのファ
セットをより充実させるなど、検索結果が多数出てきた場合の表示方法にもっと工夫が必要」
「資料の出所表記には、つなぎ役の名称だけでなく、本来のデータ提供元の所蔵館の表記も必
要」「むしろつなぎ役の表記があれば十分。本来のデータ提供元の表記は不要では?」などの
意見が寄せられ、カスタム検索(カスマイズ可能な検索式)の公開については、「公開範囲や
自分のブラウザー上での表示状態をコントロールできる機能がほしい」との声があがった。
ジャパンサーチ(仮称)全般に対しては、「一般向けのキュレーションサイトも重要だが、
まず研究活動に役立つよう、検索機能の充実や利便性の向上に努めるべき。検索機能が乏しけ
れば、ユーザーは素材を提供しようとする気にはならないのでは」「収録データを沢山集めな
ければ、サーチの価値向上は望めないのでは」といった意見があがり、「そもそもジャパンサ
ーチ(仮称)の目指すものは何?」といった根本的な疑問も聞かれた。
ジャパンサーチ(仮称)の担当者は、美術に関しては専門外であり、意見交換では、美術館
界特有の事情の説明にも時間が費やされた。作品のデータは研究の進展によってたびたび変更
されうるという理由で、また画像の扱いに慎重であることから、日本の美術館は所蔵品のメタ
データを出したがらない傾向にある。「表形式のデータをウェブ上の安定した場所に置く」と
いう作業ですら、永続的に行うにはマンパワー不足で困難である。こうした問題に対しては、
全美も文化遺産オンラインと並ぶ「つなぎ役」の一つとなればいいのではという意見があがっ
た。
ジャパンサーチ(仮称)をめぐり、部会員の間からは実に様々な意見が出されたが、とりわ
け重要な要望は、一般ユーザーを増やすことと、専門家に対しての信頼性の担保をうまく両立
させてほしいということである。今後も引き続き、国立国会図書館と当部会との意見交換を続
けていく。
(報告者:大阪新美術館建設準備室 清原佐知子)
参加者:13名
越智裕二郎(西宮市大谷記念美術館)部会長
鴨木年泰(東京富士美術館)幹事
川口雅子(国立西洋美術館)幹事
八柳サエ(横浜美術館)
谷口英理(国立新美術館)
水谷長志(東京国立近代美術館)
住広昭子(東京国立博物館)
清原佐知子(大阪新美術館建設準備室)
オブザーバー
本造雅美(株式会社ユニークポジション)
上坂真由(株式会社ユニークポジション)
徳原直子(国立国会図書館)
中川紗央里(国立国会図書館)
小林豊子(全国美術館会議 事務局)
鴨木年泰(東京富士美術館)幹事
川口雅子(国立西洋美術館)幹事
八柳サエ(横浜美術館)
谷口英理(国立新美術館)
水谷長志(東京国立近代美術館)
住広昭子(東京国立博物館)
清原佐知子(大阪新美術館建設準備室)
オブザーバー
本造雅美(株式会社ユニークポジション)
上坂真由(株式会社ユニークポジション)
徳原直子(国立国会図書館)
中川紗央里(国立国会図書館)
小林豊子(全国美術館会議 事務局)