平成23年8月31日
全国美術館会議東日本大震災対策本部-
1 経緯
陸前高田市立博物館(岩手県)は、3月11日の津波により、甚大な被害を受けました。被災後、自衛隊等の手によって瓦礫などの撤去作業が実施されたのち、同館の歴史、生物、考古、民俗等の資料は関係者の手によって順次関係機関に移送されました。しかしながら500号、300号の大型作品も含む洋画作品約50点、書作品約70点については同館に残されたままでした。
そこで、岩手県教育委員会から文化庁次長宛に5月2日付の文書で支援要請が出され、「文化財レスキュー事業」の一環としての救援事業が開始されました。全国美術館会議は、東北地方太平洋地震被災文化財等救援委員会(以下、救援委員会)事務局からの依頼を受け、同救援活動に参加しています。
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2 救援活動の概要
- 平成23年5月2日付文書として、岩手県教育委員会から文化庁次長宛に被災文化財のレスキューに関する支援要請が提出される。
- 5月12日 文化庁美術学芸課が陸前高田市立博物館の被災状況を調査
- 5月16日 文化庁美術学芸課は救援委員会事務局に報告
- 5月25日 救援委員会事務局から岩手県教育委員会事務局生涯学習文化課文化財・世界遺産課長へ、陸前高田市立博物館被災絵画のレスキューについては全国美術館会議が協力すると連絡
- 6月13日から独立行政法人国立美術館も協力体制に入る
- 6月13日
陸前高田市立博物館における作品状態調査(参加団体:陸前高田市教育委員会、岩手県教育委員会、岩手県立美術館、独立行政法人国立美術館、全国美術館会議東日本大震災対策本部) - 6月14日
被災美術作品等の燻蒸・応急修復を行う一時保管場所を検討する会合を開催。複数の候補の中から、盛岡市内の施設(以下盛岡ラボと呼ぶ。)を選定。(会合場所:岩手県立美術館、参加団体:岩手県教育委員会、岩手県立美術館、救援委員会事務局、独立行政法人国立美術館、全国美術館会議東日本大震災対策本部) - 6月中旬〜7月初旬 陸前高田市立博物館から搬出・移送を行うための準備、盛岡ラボの整備
- 7月12日〜14日
陸前高田市立博物館にて、作品チェック及び梱包作業。14日に盛岡ラボに搬入
□ 搬出・移送作業スタッフの構成団体
陸前高田市教育委員会
岩手県教育委員会
岩手県立美術館
救援委員会事務局(東京文化財研究所)
独立行政法人 国立美術館 (東京国立近代美術館、京都国立近代美術館)
全国美術館会議 (山形美術館、神奈川県立近代美術館、金沢21世紀美術館、愛知県立美術館、名古屋市美術館、
兵庫県立美術館、和歌山県立近代美術館、高知県立美術館)
カトーレック株式会社
3日間で延べ62名のスタッフが作業 - 7月15日〜8月9日 燻蒸準備
- 8月10日〜8月15日 燻蒸
- 8月16日〜8月20日 盛岡ラボに係る各種設営作業
- 8月21日 応急処置作業開始
- 8月21日から8月31日現在まで、延べ143名のスタッフが作業
- 9月1日以降、一か月前後の作業が必要な見込み