情報・資料研究部会過去の活動一覧

日時
2020年1月23日(木)
13:30〜17:00
場所
国立西洋美術館
第一会議室

第56回情報・資料研究部会会合報告

内 容 

1. ジャパンサーチからの連携協力依頼について
 (1) つなぎ役の打診
    ジャパンサーチ側からの連携協力依頼を受
  け、全国美術館会議 情報・資料研究部会が正
  会員(以下、会員館)との「つなぎ役」(ア
  グリゲーター)の立場を担うことについて、
  オブザーバー参加された国立国会図書館の徳
  原氏を交えて議論した。部会員からは、これ
  までジャパンサーチ側が提示してきた「つな
  ぎ役」は、ポータルを持つ組織が担い手にな
  るという理解であったが、全美のようなポー
  タルを持たない組織でも可能になったのかという質問があった。徳原氏からは、連携拡大の方
  策が多様化しており、必ずしもポータルを持たなくても役割を担える状況になっているとの回
  答があった。
   今後、正式に全美がジャパンサーチとの連携協力に合意した場合、情報・資料研究部会が会
  員館との橋渡しする役割を担う。具体的には、ジャパンサーチ側への連携可能な会員館の推薦
  や、データ取扱いに関する文書を取り交わす上での窓口、さらに、ジャパンサーチへの改善要
  望などを行う。加えて、データ連携する際に役立つ、メタデータ項目の推奨マッピングモデル
  の提案や連携協力に関する説明会の実施も検討している。実務的な面も含めて、国立国会図書
  館とともにサポートする立場となる。
   なお、ジャパンサーチへの連携に際して望ましい条件の一つに、会員館独自で作品情報(画
  像)をweb上で公開していること(=作品画像のURLが用意できること)が挙げられる。
   また、全美が「つなぎ役」となった場合、ジャパンサーチ上の構成は、連携機関名が全美と
  なり、その傘の下に所蔵機関として会員館が名を連ねることになる。これにより、ジャパンサ
  ーチ上で、全美の会員館の作品情報をまとめたポータルが構築されることになる。
 (2) ジャパンサーチへの所蔵作品メタデータ登録作業の実演
    幹事の鴨木氏からは、所属先の東京富士美術館が公開している作品情報(1319点)を例に
  ジャパンサーチへの登録作業の実演が行われた。まず、ジャパンサーチのメタデータ項目に合
  わせて、所蔵データベースから作品情報をエクセルファイルに抽出し、そのファイルをジャパ
  ンサーチにアップロードする(なお、ジャパンサーチでは、オリジナルのメタデータ項目をそ
  のまま登録することができる)。鴨木氏は、ジャパンサーチにアップロードする過程で、所蔵
  データベースに既存の作品情報に含まれていなかった館HP上の作品詳細ページのURLや作品
  のサムネイル画像のURLなどを補ったという。アップロード後、メタデータ項目はジャパンサ
  ーチ側で自動解析され、個別項目ラベルが付与される。それを元に項目の名称変更や並び替え
  等の微調整を行う。その後、主に検索用の共通項目ラベルの適当な箇所にマッピングを行う。
  そして、テスト公開画面を開き、検索結果の表示等を確認した。徳原氏からは、検索結果一覧
  や詳細画面のデザインに、今後修正が入る予定との補足があった。また、データ登録の際に困
  ったことがあれば、国立国会図書館側が協力するとのことだった。
 (3) 課 題
    今回の実演時に一番の話題となったのが、
  サムネイル画像のURL掲載についてであっ
  た。作品のメタデータと同列に画像の直リン
  クが示されてしまうことに対して、多くの出
  席者から不安の声があがった。徳原氏から
  は、これまで他の機関から同様の指摘はなか
  ったということやURLを用いることで著作権
  処理が不要という利点、画像それ自体が独り
  歩きする状況を防げること、また、そもそも
  画像のURLは右クリックなどで取得可能等、
  特に問題にはならないのではという回答があった。しかし、参加者からは、画像のURLを作品
  情報と同列のメタデータ項目として捉えていないことやURLの配列(フォルダ構成)が晒され
  てしまうことへの抵抗、画像のURLだけが独立して活用されてしまうことへの懸念、また、そ
  もそも画像自体にコピーガードを施しているなど、様々な懸案事項が示された。そのため共通
  項目であっても、表示・非表示の選択ができるように変更できないかという意見も寄せられた
  が、ジャパンサーチ仕様上困難である可能性が高いことが示され、結論には至らず、改善要望
  として持ち帰ってもらうことになった。(※徳原氏より、会合後のメールにて、裏技ではある
  が、共通項目に登録してもサムネイル画像URLを画面上に表示させない方法を見つけたとの報
  告があった。)
 (4) 今後のスケジュール
    ジャパンサーチへの連携協力については情報・資料研究部会の活動の一環として企画書を
  まとめ、2月26日開催予定の全国美術館会議 企画委員会・理事会に提出し、合意形成を図る
  ことになった(形式上、連携組織名は全国美術館会議だが、実務は情報・資料研究部会が担
  う見込み)。ジャパンサーチ正式版が夏頃までに公開予定であることから、2020年3月を目
  途に連携協力の第一次募集を実施し、4月から順次公開を見込んでいる。

2. 第33回学芸員研修会報告書の編集・刊行について
  現在2月25日の刊行を目指して編集作業を進めている研修会報告書のスケジュール及び概要に
 ついて、以下のとおり確認した。
  ・2020年1月6日の週に初校出し
   →各執筆者の方の校正~1月20日の週にもどし→修正
  ・1月27日の週に再校出し
   →2月3日の週初めにもどし→修正、2月10日校了
  ・2月12日~製版・印刷・製本
   →2月21日発送→2月25日納品、3月初旬に会員館他宛てに発送(事務局)
  ・デザイン・版下制作、印刷等
   デザイン・版下作成(入稿データ、公式HP掲載用PDFデータ作成含む)
   仕様:A4判冊子 並製本(無線とじ)
   ページ数:80ページ程度(見込み)
   部数:600冊(事務局550部:関係者配布用込み、当部会50部)

3. 「美術関係アーカイブズ資料所在調査」アンケート集計について
 (1) アンケートの集計   
   2020年1月20日に回答締切りを
  迎え、183館(内訳:メール91件、
  ファクス85件、郵便7件)からの回
  答を得た(ただし、部会当日にも回
  答が届いていたことから、今後も増
  加すると考えられる)。回答率は実
  に46パーセントとおよそ半数の機関
  から回答を得ることができ、資料群
  の合計も344件であった。これらの
  アンケート結果について、部会参加
  者の間で内容に目を通した上で、今
  後の集計方法について議論した。当
  初の予定を大きく上回る数の回答が寄せられたことから、部会員で手分けして、通覧可能なデ
  ータに集計することになった。
  ※なお、既に回答締切りを迎えているが、未回答の機関においては、ぜひ回答をお寄せいただ
   きたい。
 (2) 今後のスケジュール
  ア 2020年5月末までに「美術関係アーカイブズ資料所在調査」の集計結果をまとめる。
  イ 全国美術館会議総会(5月26・27日、京都)において、アンケート調査の回答率や寄せら
   れたコメント等を報告。
  ウ 6月17日に次回の部会を開き、集計結果を踏まえた打合せを実施。なお、アウトプットの
   形式や方法については、部会員の谷口氏より具体的な提案を挙げていただくことになった。
  エ 秋に向けて、集計結果のリライト等を行い、冬に必要に応じてアンケート回答館への第二
   次調査を実施。
  オ 2021年2月刊行予定の『ZENBI 全国美術館会議機関誌』で本調査の中間報告を掲載。
  カ 2020年度末までに集計結果をweb上に公開。なお、将来的には、調査に有用なツールと
   して活用できるようデータベース化を検討。

4. 第57回部会の開催予定:2020年6月17日(水)13:30~ 於・国立西洋美術館
   
(報告者:東京国立近代美術館 長名大地)

参加者:11名

越智裕二郎(西宮市大谷記念美術館)部会長
鴨木年泰(東京富士美術館)幹事
川口雅子(国立西洋美術館)幹事
土生和彦(宮城県美術館)
八柳サエ(横浜美術館)
谷口英理(国立新美術館)
長名大地(東京国立近代美術館)
中平洋子(ちひろ美術館・東京)
朝倉芽生(高知県立美術館)
オブザーバー
徳原直子(国立国会図書館)
小林豊子(全国美術館会議事務局)
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