保存研究部会過去の活動

日時
2016年2月18日(木) ~2016年2月19日(金)
場所
福岡市美術館 教養講座室

第47回保存研究部会会合報告

内 容

14:00~16:30 講演及び質疑応答
 「東京国立博物館における保存修復活動の進化と現状について」(後編)
   講師:神庭信幸氏(東京国立博物館特任研究員)  
 神庭信幸さんには前回の郡山市美でもご講演いただきましたが、時間切れによりレジュメ後半部分の内容を詳しくお聞きできませんでしたので、再度ご登壇をいただき、東京国立博物館での保存修復活動について、近年の活動を中心にお話いただきました。今回は予算に関することや、修復を外部業者に委託する時の指針や方法など、普段なかなか質問しづらいお話もうかがうことができ、大変参考になりました。また、省エネルギー対策や防災ネットワークの構築など、最新の課題に対する取り組みもご紹介いただきました。
 講演後の質疑応答では、「修復」「修理」という用語の定義、LEDが作品に及ぼす影響、バックヤードの一般公開、仮設ケースの仕様などの話題が挙がりました。
 
16:45~18:00 バックヤードツアー
 渡抜さんのご案内で、空調機械室、トラック・ヤード、前室(一時保管庫)、古美術・工芸・立体作品用の収蔵庫各室、資料撮影室、燻蒸庫などを見学させていただきました。2013年の部分改修で設置されたという新しい収蔵庫をはじめ、作品収蔵スペースの広さに羨望のまなざしを向けた参加者は多かったと思われますが、一方で膨大なコレクション管理のご苦労も容易に想像できました。1979年開館の同館には、大型燻蒸庫や職員用浴室など時代の流れとともに使われなくなった部屋もいくつかあり、美術館建築の歴史という点からも興味深く拝見しました。大規模リニューアル後のいつかの機会に、ぜひまたツアーをお願いしたいと思います。

19:00~ 福岡市内の「つつじ庵」にて情報交換会。2次会も大変盛り上がりました。

コンディションチェックシートについて

2月19日(金)9:30~11:30
◆洋画用、立体作品用フォーマットについて、前回に引き続き意見交換を行いました。主な修正・
 確認事項は以下のとおり。
【両フォーマット共通】
 ・「取扱い・輸送・梱包時の注意点」の輸送箱
  に関する内容は別枠で儲け、項目として
  「□借用」「□新規作成(  )」を作る。
  ( )内には箱の仕様、終了後の扱い(廃
  棄・引取り等)などを記入。
 ・「ポリエチレンシート」「シリコンシート」
  は別製品と混同する恐れもあるので、それぞ
  れ「絵画用プラスチックシート」「シリコン
  フィルム」に変更。また、記載順を使用頻度
  の高い順とする(エアキャップ/絵画用プラ
  スチックシート/シリコンシート/その他、の順)。
  プラスチックシートは、立体に使う場合も「絵画用」で輸送業者には通じるため、平面と同
  じ表記とする。
 ・英語のスペルは基本大文字から始める
 ・二つ折り(A4)でリングファイルに綴じた時もページを開けるようにページ面付けを変更
  (表面:1・2頁→2・3頁、裏面:3・4頁→4・1頁)。紙の折り山側に綴じ穴を開ける。
【洋画】
 ・「附属品」欄の項目(タトウ、黄袋)は削除し、空欄とする。

◆相澤さんに修正いただいた症例集について、前回に引き続き意見交換を行いました。主な修正・
 意見等は以下のとおり。
【症例集(案)について】
 ・各項目(用語)に英訳を追加する。
 ・油彩画、紙作品、写真それぞれに「水濡れ/水染み」の項目を追加する。
 ・油彩画の項目「ブルーミング」に「/結晶化」の言葉を追加する。
 ・紙作品に「虫食い」の項目を追加する。
 ・作品の構造を示す図版(イラスト)を作成または引用する。
 ・用語は原則統一する。ジャンルや地域によって異なる言い方をする場合もあるが、全ては網羅
  しきれないので、何らかの形でフォローする。
【その他】
 ・日本画の症例集案作成を安藤さんに、陶芸は花井さんにそれぞれお願いする。
 ・症例集の画像を収集する。収集方法は別途協議。

※今回は出席者が少ないため、メーリングリスト上でさらに意見を募集し、更新することにしま
 す。

連絡事項等

11:30~12:30
・来年度の通常会合は1回のみ、岐阜県現代陶芸美術館で開催します。第2回会合は学芸員研修会
 の前日又は当日午前中に開催し、研修会準備と次年度活動計画の協議が主な内容となる予定で
 す。
・来年度の活動交付金は、会合開催経費と研修会準備チーム旅費を中心に計上し、20万円で申請
 します。
・(事務幹事より)来年度の事務幹事は相澤・根本で引き続き担当しますが、根本は年度後半から
 館業務が多忙となるため、もう一人幹事をお願いするかもしれません。また、再来年度以降、
 できれば事務幹事の順番制を検討いただきたいと思います。
・(長門さんより)東文研の佐野さんを中心とした研究チームで、LED照明の基準作りを行ってい
 ます。近日中にLED導入の現状に関するアンケートを配布する予定なので、ぜひご協力をお願い
 します。LED講習会の開催なども検討中です。

出席者

10名(18日)、9名(19日)
オブザーバー4名(18日)
 
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